ダブルワークと社会保険の境界線とは?週20時間・週25時間の影響と厚生年金加入の可否について

社会保険

自営業とパートタイムを兼ねるダブルワーカーにとって、社会保険や厚生年金の加入条件は複雑に見えがちです。特に60歳目前のタイミングで労働時間を増やす際、「手取りが減るのでは?」と不安に思う方も多いでしょう。この記事では、労働時間の増加が社会保険・厚生年金の加入義務にどう関わるのか、そして拒否の可否について分かりやすく解説します。

社会保険に加入が義務となる条件

短時間労働者(パート・アルバイト)でも、以下の条件を満たすと「社会保険の加入義務」が発生します。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 賃金月額が8.8万円以上
  • 勤務期間が継続見込み2か月以上
  • 学生でない
  • 勤務先の従業員が常時101人以上(2024年10月以降は51人以上)

これらをすべて満たした場合、事業所側は社会保険・厚生年金に加入させる義務があります。

週18時間から週20時間に増やすとどうなる?

たとえば、現在週18時間の労働時間を30分延ばし週20時間に達した場合、上記条件をすべて満たせば加入が必要になります。つまり「週20時間」がボーダーラインであり、1時間の差が大きな制度変更を呼ぶ可能性があるということです。

具体的には、月収が88,000円を超え、事業所が101人以上であれば、加入対象となり、自分の意志では加入を拒否できません。

厚生年金加入の影響と将来受給額の増加

「今さら加入しても年金額は大きく増えないのでは?」と思う方も多いですが、3年間加入すれば一定の加算効果は期待できます。たとえば厚生年金に3年加入すると、受給額は年間数万円増えることもあります。

また、国民年金に比べ、老後に加算される「経過的加算」などの制度的恩恵がある点も見逃せません。少額でも将来の生活の安定につながります。

社会保険加入を拒否することは可能か?

社会保険は「加入が義務」なので、個人が希望して拒否することは原則できません。雇用契約における条件を満たす限り、事業主側にも加入義務が発生するため、双方の合意による免除も不可能です。

ただし、事業所が従業員数100人以下であれば対象外となるため、加入条件に該当しないように労働時間を「20時間未満」に維持するという選択肢はあります。

手取りが減る?加入後の収支バランス

社会保険料・厚生年金保険料の負担により、手取りは一時的に減る可能性があります。ただし、会社が保険料の半分を負担してくれるため、自営業で全額負担しているよりも実質的なコストは抑えられます。

また、厚生年金に加入していれば、将来の年金受給額アップ、傷病手当金や出産手当金などの制度の対象にもなるため、万一の備えとしての安心感も大きなメリットです。

まとめ:ライフプランに合わせた慎重な判断を

週20時間以上の勤務により社会保険や厚生年金に加入する義務が発生する可能性は高いですが、それが一概に「損」とは言えません。長期的な老後の保障や万一のリスクに備える制度が整っており、自営業のみで働くよりもメリットがあるケースも少なくありません。

労働時間と収入、年金加入のバランスを見ながら、自分にとって最適な働き方を選ぶことが重要です。制度に不安がある場合は、年金事務所や社会保険労務士に相談するのも有効な手段です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました