貯蓄用口座に1,000万円以上の大金を預けるというのは、一般的に見れば堅実な資産管理の一つです。しかし、そこには意外と知られていないリスクや注意点も潜んでいます。本記事では、大口預金をする際のポイントや、資産を守るために知っておきたい対策を具体的に解説します。
1,000万円以上の預金に対する預金保険制度の上限
日本では、銀行が破綻した場合のために「預金保険制度」が設けられています。これは万一のときに預金者を保護する制度ですが、1金融機関につき元本1,000万円とその利息までしか保護されません。
つまり、ある銀行の普通預金口座に1,200万円預けていてその銀行が破綻した場合、200万円超の部分は保証されない可能性があります。これはメガバンクであっても例外ではありません。
分散預金でリスクを回避する方法
最も基本的なリスク対策は、預金の分散です。1,000万円を超える資金がある場合は、複数の銀行に分けて預けることで、全額を預金保険の対象にできます。
たとえば、A銀行に900万円、B銀行に800万円と分けて預ければ、両方とも1,000万円以下となり、万が一のときも全額保護されます。ネット銀行とメガバンクを組み合わせるのも一つの手段です。
普通預金の利率は事実上ゼロ、機会損失の可能性も
銀行の普通預金金利は年0.001%前後が多く、仮に1,000万円を1年間預けても利息はたったの100円程度です。インフレ率が2%であれば、実質的には資産価値が目減りしているとも言えます。
より利回りを期待したいなら、定期預金や個人向け国債、あるいは投資信託などへの分散投資も検討してみましょう。もちろんリスクをよく理解したうえで判断することが重要です。
高額預金者としての取引履歴が目立ちやすくなる
1,000万円を超える預金を継続していると、銀行からは「優良顧客」として認識され、特別なサービスやプライベートバンキングの案内が来ることもあります。
一方で、振込や出金などで大きな金額を動かすと、マネーロンダリングや不正送金対策の一環として監視対象になることもあり、追加の本人確認やヒアリングを求められるケースもあります。
相続や贈与時に税務上の確認が入る可能性も
預金が1,000万円を超えていると、将来的に相続や贈与を行う際に、税務署からの照会対象となる可能性も高まります。特に、名義預金とみなされた場合、税負担が増加する恐れがあります。
適切な管理や、必要に応じた資産の分割・分配計画を立てておくことで、将来のトラブルを防ぐことができます。
まとめ:1,000万円超の預金は慎重に管理すれば安心
1,000万円以上の資産を銀行口座に預けておくこと自体に違法性や大きな問題はありませんが、「預金保険制度の上限」や「利息の低さ」「資産目減りのリスク」「相続税対策」など、知っておくべき注意点が多いのも事実です。
口座の分散や資産の一部を他の金融商品で運用することで、よりリスクを抑えつつ効率的な資産管理が可能になります。今後の資金運用を見直す際の一助となれば幸いです。
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