退職と傷病手当金の正しい手続き方法|有給消化と申請のポイントを解説

社会保険

うつ病などの病気で退職を検討している方にとって、傷病手当金の申請は重要な生活保障の一つです。とくに「有給を使って欠勤せず退職」する場合に、どのように申請手続きを進めればいいか分かりづらいという声も多く聞かれます。この記事では、会社への迷惑を最小限にしつつ、傷病手当金を受給するための具体的な流れと注意点を解説します。

傷病手当金とは?概要と基本要件

傷病手当金とは、健康保険の被保険者が業務外の傷病により働けなくなった場合、最長1年6か月にわたり支給される制度です。支給には以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 業務外の病気やケガで療養中である
  • 仕事に就けない状態である
  • 連続して3日間の待機期間があり、4日目以降も就労できない
  • 給与などを受けていない

これらの条件は、在職中であっても退職後であっても同様に適用されます。

退職前に有給を使う場合の注意点

たとえば10月15日で退職し、10月はすべて有給休暇を取得する場合、形式上は「欠勤していない」ため、在職中の待機期間としてはカウントされません。待機3日+就労不能1日=計4日間のうち、「給与が発生しない日」が含まれていないからです。

つまり、有給中は傷病手当金の申請に必要な「待機期間」として扱われないため、退職後から申請のカウントがスタートすることになります。

申請の流れと必要な書類

傷病手当金の申請には、以下の3者が関与します。

  • 本人:申請書の記入、医師の意見書取得
  • 医師:診断書(または意見欄)の記入
  • 事業主:退職日までの勤務状況を証明(事業主欄)

退職後の申請であっても、退職日までの状況を記載するため、事業主欄は必須です。したがって、会社に最低限の協力はお願いする必要があります。スムーズに進めるためには、退職前に「傷病手当金支給申請書(健康保険)」を取得し、必要部分を埋めてもらっておくのが理想的です。

退職後に申請する場合のポイント

健康保険の任意継続に加入していない場合でも、退職前に傷病手当金の支給対象となっていれば、資格喪失後も受給可能です。ただし、保険者(協会けんぽや健康保険組合)へ個別に手続きが必要になります。

その際、支給対象期間の延長や医師の診断継続が求められるため、通院の記録や診断書の準備は怠らないようにしましょう。なお、退職日以降の申請は基本的に本人が直接保険者に申請書を提出する形となります。

会社に迷惑をかけないための工夫

どうしても会社に負担をかけたくない場合は、退職前に必要書類の準備を済ませることが鍵です。とくに「事業主記入欄」を事前に記載してもらうことで、退職後に会社とやり取りする必要がほぼなくなります。

また、事前に上司や人事担当者に「会社には極力迷惑をかけたくない」という意思を伝えておくことで、協力を得やすくなります。

まとめ:有給退職でも傷病手当は受給できる

有給消化を経て退職するケースでも、条件を満たせば退職後に傷病手当金を申請することは可能です。ただし、有給中は待機期間に含まれない点や、会社の証明が必要な点に注意が必要です。

スムーズな申請のためには、退職前に医師の診断と会社への申請協力を依頼し、退職後は保険者に自身で申請する流れをしっかり準備しましょう。

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