近年、共働き世帯の割合が増加し、もはや標準的な家庭形態になりつつあります。専業主婦世帯よりも共働き世帯のほうが多数派になっている現状には、経済的背景や社会の価値観の変化など、複数の要因が絡んでいます。この記事では、共働き世帯が増えている理由を、制度・経済・文化の観点から多角的に解説します。
共働き世帯の割合の推移
厚生労働省の「国民生活基礎調査」や総務省の統計によると、1990年代以降、共働き世帯は一貫して増加傾向にあります。2020年時点では、共働き世帯が約1,240万世帯、専業主婦世帯が約550万世帯と、共働きが圧倒的多数を占めています。
このような傾向は、都市部に限らず地方でも見られ、家庭の形態が大きく変化していることがわかります。
経済的理由:1馬力では生活が成り立たない現実
最大の要因は、家計を支える収入の確保です。物価上昇、教育費の高騰、住宅ローンなどの固定費増加により、夫婦どちらか一方の収入だけでは家計が苦しくなるケースが増えています。
特に、都市部では保育料や家賃が高く、共働きによるダブルインカムでなければ生活水準を維持するのが難しいという現実があります。
女性の社会進出と価値観の変化
女性の高学歴化・就業意識の高まりも大きな要素です。大学進学率の上昇や、キャリア志向の女性の増加により、結婚・出産後も仕事を続ける選択をする人が増えています。
また、「子育てしながら働く」ことへの社会的理解も進んでおり、家庭内でも夫婦の役割分担を柔軟に考える時代になっています。
制度の整備と企業の変化
・保育園の整備や保育料の軽減
・育児休業制度の充実
・在宅勤務や時短勤務制度の普及
これらの制度が進んだことで、育児と仕事の両立が現実的になり、出産後の職場復帰がしやすくなりました。企業側も女性社員の定着や多様性推進に前向きな対応を取るようになってきています。
実際の共働き家庭の声
ある30代夫婦(共に正社員)は、子ども2人を育てながらフルタイムで働いています。「夫婦で交代で保育園送迎をしており、家事分担もアプリで管理。子育てと仕事は両立可能と実感している」と話します。
一方、40代女性(パート勤務)は「専業主婦からパートに出ることで家計が助かるのはもちろん、社会とつながっている安心感がある」と語っています。
共働き社会における今後の課題
・保育園の待機児童問題
・家事育児の夫婦間格差
・介護との両立
共働きが当たり前になった一方で、負担のバランスや家庭内の役割分担が追いついていないという課題も残ります。こうした課題に対し、制度や意識の両面での対応が求められます。
まとめ:共働き世帯の増加は必然的な社会変化
・経済的事情、価値観の多様化、制度整備が背景
・共働きは生活を豊かにするための選択肢の一つ
・今後も共働き前提の社会制度整備が進む見込み
家庭のあり方は一つではありませんが、共働きという形態が一般化した今、自分たちのライフスタイルに合った選択ができる社会が求められています。
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