老後の生活に対する不安は、多くの家庭にとって共通の関心事です。特に、ご主人が定年に近づき、お子様がまだ小さい家庭では、教育費や医療費、介護など将来的な出費を想定した上で、資産が「足りるかどうか」を判断する必要があります。この記事では、戸建てローンなし、預金1億5000万円、夫婦+子供1人という家族構成をモデルに、老後資金の目安と注意すべきポイントについて解説します。
老後資金の基本的な考え方
老後資金は、「収入」と「支出」のバランスで成り立ちます。退職後の主な収入源は年金です。一方、支出は生活費に加え、医療費や介護費、趣味・旅行、住宅維持費など多岐にわたります。
一般的に、夫婦2人の老後生活には月25万~30万円程度の支出がかかるとされており、年間では300万円〜360万円前後が目安です。仮にご主人が65歳で退職し、95歳まで生きたとすると30年間で必要となる支出は、約9,000万円〜1億円になります。
現在の家計資産の強み
今回のケースでは、以下のような強みがあります。
- ローンのない戸建て住宅(居住費不要)
- 土地相場3500万円の資産保有
- 1億5000万円の現預金
- 共働きで厚生年金が夫婦に支給される予定
これらの条件を踏まえると、生活水準を大きく上げない限り、老後資金が大きく不足するリスクは低いと言えます。特に住宅ローンがない点は大きな安心材料です。
お子さまの教育費と将来の支出
お子さまが現在6歳であれば、これから高校・大学への進学に伴い、教育費がピークを迎えます。文部科学省の統計によると、大学進学までにかかる費用は公立でも約800万円、私立なら1,000万円~2,000万円になることもあります。
教育資金は老後資金とは別に確保しておくのが理想です。ただし、十分な金融資産があるため、取り崩しながら対応しても生活に直ちに影響は出にくいでしょう。
もしもの病気や退職リスクへの備え
病気や介護のリスクに備えて、以下の点を意識すると安心です。
- 医療費の備え:高額療養費制度の活用や、がん保険などの医療保険の見直し
- 生活防衛資金:収入が一時的に途絶えても数年暮らせる現金を確保
- 退職タイミングの柔軟性:もし配偶者の介護が必要となりご主人が早期退職しても、支出を抑えれば資産で十分カバー可能
医療・介護の突発的支出に備えて、生活費とは別に500万~1,000万円程度の資金を確保しておくとより安心です。
資産運用ができない場合の選択肢
「投資はしていない」「わからないので不安」という方は多いです。無理にリスクのある運用をする必要はありませんが、以下のような工夫でリスクを抑えながら資産を守ることが可能です。
- 生活費の一部を定期預金に分けて管理
- iDeCoやNISA(新NISA)の非課税制度を利用した少額投資(必要な場合)
- 物価上昇への備えとして、現金の過剰保有を避けることも視野に
ただし、今後のライフプランを明確にするために、一度FP(ファイナンシャルプランナー)など専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
1億5000万円の預金とローンのない戸建てを所有していれば、教育費や医療費を含めても、基本的な生活に必要な老後資金は十分と考えられます。ただし、お子さまの進学費用やもしもの医療リスクなど、将来的な支出にも備え、定期的な家計の見直しや資産管理は重要です。無理のない範囲で情報収集や専門家の力を借りることも、安心した老後に繋がる選択と言えるでしょう。
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