会社を休職中に受け取ることができる「傷病手当金」は、退職後も条件を満たせば継続して受給することが可能です。ただし、その際の金額や支給期間には一定のルールがあるため、事前の理解と準備が重要です。本記事では、退職後の継続受給や支給金額の考え方についてわかりやすく解説します。
傷病手当金とは?退職後でも受給できる条件
傷病手当金は、健康保険に加入している会社員などが、病気やケガで働けないときに支給される公的制度です。退職後でも次の条件を満たせば、継続して受給することができます。
- 退職日までに傷病手当金の支給を受けていたこと
- 退職日以降も労務不能の状態が続いていること
- 退職日まで健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
この条件を満たせば、退職後も最大で通算1年6か月間の支給を受けられます。
支給額は退職後も変わらないのか?
支給金額は原則として「支給開始日前12か月の平均標準報酬日額の2/3」となっています。これは退職後も変わらず、同じ基準で支給され続けます。つまり、会社在籍中に受け取っていた金額をベースに考えて問題ありません。
ただし、以下のような例外もあります。
- 支給開始日前の在籍期間が12か月未満の場合、特例計算となる
- 退職後に他の健康保険へ加入すると継続受給できない場合もある
したがって、退職後も今までと同額が支給されるとは限らず、制度の条件次第で多少の誤差が出る可能性があります。
退職タイミングと申請の注意点
退職日以降の支給を希望する場合、退職日までに傷病手当金の支給を開始しておく必要があります。未支給の状態で退職してしまうと、継続受給の資格を失うため注意が必要です。
また、申請書類には医師の意見欄の記載が必要で、申請ごとに診断書の提出が求められることがあります。退職後は職場を通さず直接健康保険組合に申請する形になるため、書類の取り扱いや連絡方法にも注意しましょう。
具体例で見る支給額のシミュレーション
たとえば、支給開始日前12か月の平均標準報酬月額が30万円だった場合。
- 日額換算:30万円 ÷ 30日 ≒ 10,000円
- 支給額:10,000円 × 2/3 ≒ 6,667円
- 1か月(30日間)で約200,000円弱が支給される見込み
実際には健康保険組合により計算方法や端数処理が異なるため、最終的な金額は多少前後しますが、大まかな目安としてはこれで把握できます。
退職後の生活設計に活かすポイント
退職後の収入源として傷病手当金は大きな支えになりますが、任意継続被保険者となった場合の保険料支払いや、その他の生活費とのバランスを考慮する必要があります。
また、1年6か月の支給期間が終了した後の収入計画も重要です。復職・再就職・障害年金など、次のステップを見据えた準備を早めに行うことが、生活の安定につながります。
まとめ:退職後も傷病手当金は安心材料に
退職後も条件を満たせば、これまでと同様の金額で傷病手当金を受け取り続けることができます。支給開始日からの金額で考えておけば、大きな誤差はありませんが、制度上の例外や申請手続きには注意が必要です。
退職タイミングと申請書類の準備をしっかり行い、安心して療養に専念できるよう備えておきましょう。
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