子どもが小学校に上がるタイミングなど、働き方を見直す節目で「厚生年金を続けるか」「国民年金に戻るか」は将来の年金に大きく影響します。特に現在パート勤務で厚生年金に加入している方にとっては、知っておきたいポイントがたくさんあります。本記事では、厚生年金と国民年金の違いと、将来的な受け取り額の目安、損得の比較についてわかりやすく解説します。
厚生年金と国民年金の仕組みの違い
国民年金(基礎年金)は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「1階部分」の年金制度です。一方、厚生年金は会社員や公務員などが加入する「2階建て」の制度で、国民年金に加えて上乗せされる形になります。
つまり、厚生年金に加入している間は、基礎年金+報酬比例年金の2つを将来受け取れる仕組みです。
受け取れる年金額の差は?
将来受け取れる年金額は、厚生年金と国民年金では大きな差があります。以下は2025年現在の目安です。
加入形態 | 老齢年金の目安(月額) |
---|---|
国民年金のみ(40年間満額) | 約66,000円 |
厚生年金(年収150万円・10年) | 約70,000円 |
厚生年金(年収250万円・10年) | 約80,000円 |
厚生年金(年収250万円・20年) | 約95,000円 |
たとえば、パート勤務で年収106万円以上・週20時間以上の勤務などの条件を満たして厚生年金に加入している場合、加入期間が10年・20年と延びるごとに受給額が上乗せされていきます。
保険料の支払い負担の違い
厚生年金の保険料は、事業主と折半で支払う仕組みです。たとえば月収10万円であれば、約9,150円の保険料のうち、実際に本人が支払うのは約4,575円程度です。
一方、国民年金は全額自己負担で、2025年度の保険料は月額16,980円です。この点だけ見ても、厚生年金の方が「保険料負担が軽く」「将来の受給額も多い」というコスパの良い制度であることがわかります。
厚生年金のメリットは将来の年金だけじゃない
厚生年金に加入していると、以下のような保障の厚さも大きなメリットです。
- 障害年金が手厚くなる(障害厚生年金が上乗せ)
- 遺族年金の額も高くなる
- 在職中のケガ・病気時の傷病手当金や、産休・育休中の給付制度がある
子育てと両立するパート勤務の方にとって、産休・育休に関する給付は特に心強い制度といえるでしょう。
将来の働き方と年金の選択肢
お子さんの入学時期を目安に働き方を変える場合、以下の点を検討材料にするとよいでしょう。
- 週20時間以上・年収106万円以上の勤務で厚生年金を維持するか
- 扶養内(年収130万円未満)に収めて配偶者の被扶養者として国民年金の保険料負担をゼロにするか
扶養内であれば国民年金の第3号被保険者となり、保険料の支払いは不要ですが、将来の年金額は「国民年金のみ」となります。一方で厚生年金に加入していれば、着実に年金額を上乗せできます。
まとめ
厚生年金は将来の受給額が多いだけでなく、保険料も折半で、さまざまな保障制度が受けられるという点で非常にメリットがあります。お子さんの成長と働き方の変化に合わせて、今後も厚生年金に加入し続ける選択肢は経済的に見て非常に有利です。一方、扶養内で働くことで保険料負担をなくすという考え方もあります。将来の生活設計やライフスタイルに合わせて、自分にとって最適な選択を考えてみましょう。
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