障害年金2級を受給している方の中には「少しでも働くと支給が止まるのでは?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。実際、就労と年金受給は両立できるのか、どの程度なら働いても大丈夫なのか、正しく理解しておくことが大切です。この記事では、障害年金2級の就労との関係性を制度に基づいて解説し、安心して働くためのポイントを紹介します。
障害年金2級の概要と支給要件
障害年金2級は、日常生活において常に誰かの支援までは不要であるものの、社会生活には大きな制約がある状態と認定された場合に支給されます。対象となるのは国民年金では「障害基礎年金」、厚生年金加入中に障害を負った場合は「障害厚生年金」となります。
ポイントは「労働能力の全否定」ではなく、「制限を受けながらも生活していること」に注目されている点です。つまり、ある程度の就労が可能な状態であっても、2級に該当する可能性はあります。
就労=即支給停止ではない理由
よく誤解されがちですが、「働いたから年金が止まる」わけではありません。実際には、就労の有無よりも『働き方の内容・就労時間・仕事内容・収入の程度』が重要です。
たとえば以下のようなケースでは、障害年金2級を維持したまま働いている人も多くいます。
- 短時間の軽作業(週3日・1日4時間など)
- 在宅ワークや福祉的就労(就労移行支援など)
- 勤務先が障害への配慮を行っているケース
重要なのは、就労によって生活状況がどの程度改善されたかという実態評価です。
実際に支給停止になるケースとは
一方で、就労内容や勤務形態によっては支給停止・減額となるケースもあります。具体的には以下のようなケースが該当する可能性があります。
- 週40時間勤務・フルタイム労働
- 障害者枠ではなく一般採用で勤務
- 年収が一定額(目安として180万円以上)を超える
これらの要素が重なると、年金の審査で「障害の程度が軽減された」と見なされ、次回の定期更新(再認定)時に支給停止となる可能性が出てきます。
働く前にすべきこと:主治医との連携と年金機構への相談
就労に踏み切る前に行っておくべき大切なステップがいくつかあります。
- 主治医に働くことの可否・職務内容の相談をする
- 働く内容や時間を控えておき、医師の診断書作成に活かす
- 年金事務所や社会保険労務士に「働くことの影響」について事前相談
自己判断で就労を進めると、意図せず支給停止になるリスクがあります。医師の診断と書類記載内容との整合性が非常に重要です。
実例紹介:Aさんのケース(30代・統合失調症・障害厚生年金2級)
Aさんは週4日、1日3時間の事務補助として働いており、年収は年間80万円程度。職場は障害者雇用で業務内容にも配慮があり、医師の診断でも「一般就労に困難がある」と明記されているため、障害年金2級は継続されています。
このように「収入が少ない」「就労に支援や配慮がある」「医師が就労を問題視していない」などの条件がそろえば、就労しながら年金を受け取ることは十分に可能です。
まとめ|障害年金2級と就労の両立は十分に可能
- 障害年金2級は「働いたら即支給停止」ではない
- 就労内容・時間・職場環境・医師の見解が大きく影響する
- 不安な場合は事前に年金事務所や社労士へ相談を
- 就労しながら安心して暮らすには「支給維持のポイント」を押さえることが大切
安心して働くためには、制度への正しい理解と専門家のサポートを受けながら、無理のない働き方を選択することがカギとなります。
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