給与が上がったタイミングで「社会保険料は変わるのか?」と疑問に感じたことはありませんか?この記事では、6月の昇給が定時改定後に起きた場合に、社会保険料がどう変化するのか、また定時改定と随時改定の違いについても詳しく解説します。
社会保険の定時改定とは?
社会保険料は毎年1回、原則として4月から6月に支払われた給与の平均で「標準報酬月額」を算定し、9月からの保険料が決定されます。これを「定時決定(定時改定)」と呼びます。
たとえば、給与の締めが当月で翌月払いの会社であれば、対象となる給与は「3月~5月支給分」です。したがって、6月支給分以降の変動は次年度の定時改定まで反映されません。
随時改定(月額変更届)の対象となる条件
定時改定とは別に、給与の大幅な変動があった場合には「随時改定(月額変更届)」が適用されることがあります。これは、昇給または降給などで報酬が大きく変動した場合に年1回とは別に保険料が変更される仕組みです。
ただし、随時改定には次の条件をすべて満たす必要があります。
- 固定的賃金(基本給や手当など)に変更があった
- 変更月を含めた3カ月間の平均月額が「2等級以上」の変動
- その3カ月間の支払報酬がすべて支払われていること
つまり、1等級の昇給では随時改定の対象にはなりません。
6月に昇給した場合、社会保険料は変わる?
質問者のように、6月に1等級相当の昇給があった場合は、次のような扱いになります。
・定時改定:3月~5月の給与を基準に9月分(10月支払い給与)から反映
・6月の昇給:定時改定の対象期間外
・随時改定:1等級分の変動のため適用対象外
このため、今年度中の社会保険料の変更は原則ありません。昇給後の給与は、来年の定時改定(次回3~5月)で反映されることになります。
誤解しやすいポイントと正しい理解
「昇給したらすぐ保険料が上がる」と誤解されるケースは多くあります。ですが、実際には定められた期間内の給与が判断基準であり、昇給したタイミングによっては翌年まで反映されない場合もあるのです。
特に企業の給与締め日や支払い日によって、算定期間がずれることがあるため、勤め先の人事や社労士に確認するのがベストです。
昇給後に備えるべきこと
たとえ今年の社会保険料が変わらなくても、昇給により来年の定時改定で保険料が上がる可能性は高いです。保険料は給与の約15%(会社と折半)に相当するため、毎月の手取りにも影響が出ることがあります。
そのため、手取りの増加額と社会保険料の増加額をあらかじめシミュレーションしておくことをおすすめします。厚生年金保険料率や健康保険料率は年度によって変動するため、最新の料率表を確認しておきましょう。
まとめ:6月昇給は今年度の社会保険料に影響なし
6月の昇給が1等級程度であれば、今年の社会保険料は変わらず、翌年の定時改定で反映される可能性が高いです。随時改定の適用には「2等級以上の差」が必要であることも覚えておきましょう。
制度を正しく理解しておくことで、給与明細の変化に戸惑うことなく、将来の手取り変動にも冷静に対応できるようになります。
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