「夫の扶養から外れて一時的に働いたが、また扶養に戻りたい」というケースは少なくありません。特に年収が103万円以下や130万円未満に収まる見込みがある場合、社会保険や税制上の扶養に戻ることができるかどうかは重要なポイントです。本記事では、そのような状況で扶養に戻れるかどうか、社会保険と税制の観点からわかりやすく解説します。
税制上の扶養と社会保険上の扶養は別物
まず基本として理解しておきたいのは、税制上の扶養と社会保険上の扶養は異なる制度であり、判断基準も異なるという点です。
税制上の扶養は主に「年収103万円以下」が基準となり、配偶者控除や配偶者特別控除などの対象になります。一方、社会保険上の扶養は健康保険や年金の加入条件に関わるもので、被扶養者として認められるには「年収130万円未満かつ扶養者の収入の1/2未満」である必要があります。
短期間での扶養の出入りは可能なのか?
結論から言えば、一定の条件を満たしていれば再び扶養に戻ることは可能です。重要なのは「今後の収入見込みが基準を下回るかどうか」です。
たとえば5月に扶養を抜けて一時的に月収20万円を得た後、6月以降の就労予定がなく、年間見込み収入が130万円未満であれば、社会保険上の扶養に再度入れる可能性があります。特に就労が1ヶ月のみ、かつその後の就労意思がない場合は、実務上問題なく戻れることが多いです。
社会保険上の再扶養手続きのポイント
再度扶養に戻るには、保険者(健康保険組合や協会けんぽ)に対して申請が必要です。この際、収入の証明として退職証明書や給与明細、離職票などの書類提出が求められます。
また、今後の就労予定がないことの申告や、配偶者(被保険者)の収入とのバランスも審査されます。基本的には年間収入が130万円未満かつ、かつ今後継続的な就労見込みがないと見なされる場合、再度扶養に戻る手続きは比較的スムーズです。
実例:1ヶ月の就労後に再扶養となったケース
例えばAさんは、パートで5月に月収20万円を得ましたが、6月に退職。年間の総収入見込みは67万円程度。退職後すぐに扶養に戻るための申請を行い、退職証明書や雇用契約書の写しを提出。保険者の審査を経て、6月から再度扶養認定されました。
このように、単発の就労であってもその後働く予定がなければ、柔軟に対応されるケースは多く存在します。
注意点:収入のタイミングと支払い方法
たとえ退職後に給与が振り込まれる場合でも、それは「就労した月の収入」として判断されます。つまり6月に振り込まれたとしても、実際の就労が5月なら、5月分の収入として扱われるため、収入見込みの月割りや年間合計に影響することは少ないです。
また、扶養に戻る場合でも扶養を抜けた期間中は自分で健康保険料や年金を支払う必要があります。タイミングによっては国民健康保険への加入義務が発生する可能性もあるため、手続きの空白期間にも注意が必要です。
まとめ:扶養への再申請は可能。早めの相談と手続きがカギ
一時的に扶養から外れて働いたとしても、年間収入が基準内に収まる見込みであり、かつ今後継続的な就労がない場合には、再度扶養に戻ることは可能です。ただし、必要書類の提出や保険者の審査があるため、早めに確認・相談し、確実に手続きを進めることが大切です。
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