長年保有してきた金の延べ板を、老後の生活資金として現金化したいと考えている方も少なくありません。特に過去に安価で購入しており、現在の金相場が高騰している状況では、大きな利益が出る可能性もあります。今回は、500g×7枚の金を将来的に売却するにあたり、税金面で知っておくべきポイントや、賢く対応するための方法を詳しく解説します。
金を売却した際にかかる税金の種類
個人が金を売却して利益を得た場合、通常「譲渡所得」として所得税と住民税が課されます。これは株式や不動産などと同様、資産を売って儲けが出た場合に発生する税金です。
譲渡所得は以下の計算式で求められます:
譲渡所得 = 売却額 - 購入費 - 諸経費 - 特別控除(50万円)
この課税対象額に対して、税率は総合課税で他の所得と合算されて課税されます。
長期保有で有利な「長期譲渡所得」の特例
金は「譲渡所得」に分類されるため、所有期間が5年を超えていれば「長期譲渡所得」として優遇され、課税対象額が半分になります。
たとえば、保有期間が10年以上で500gの金7枚(3.5kg)を売却した場合、仮に利益が1000万円出たとすると、課税されるのは500万円(半額)となります。さらに50万円の特別控除が適用されれば、実質450万円が課税対象です。
10年後に売る際の金価格と利益の見込み
質問者のように1gあたり1,000~1,500円で購入した金を、10年後に1gあたり10,000円で売却したと仮定すると、以下のような利益が見込まれます。
(10,000円-1,250円)×3,500g=約3,037,500円(税引き前の概算利益)
そこから特別控除や長期譲渡所得の優遇を適用することで、課税額を大きく抑えることが可能です。
注意したい:購入時の証明書類の保管
税務署は「本当に長期保有していたか」「いくらで買ったのか」を証明する書類の提示を求めてくる場合があります。領収書、購入明細書、当時の金価格が記載された証明書などは必ず保管しておきましょう。
もし書類がなければ「購入費がゼロ」とみなされてしまい、売却益全額に課税されるリスクがあります。
課税を抑えるための3つの方法
① 数年に分けて売却する
年間の譲渡所得が50万円を超えなければ課税されません。年を分けて少しずつ売却すれば、毎年の特別控除を最大限活用できます。
② 扶養家族や配偶者と分けて売却
家族名義にして購入していた金がある場合は、それぞれで売却することで各人の特別控除を使うことが可能です。
③ 確定申告で正確に控除を申請
売却時に確定申告を行い、購入費や保管料、送料、売却手数料などを必要経費として申告することで課税額を抑えることができます。
売却時の手続きや注意点
金を売却する際は、信頼できる買取業者を選び、身分証の提示が必要です。多額の売却となる場合は、振込ではなく現金での受け取りを避け、金融機関を通じた取引にしましょう。
また、税務調査に備えて、売却時の明細・振込記録・受領書などをきちんと保存しておくことも大切です。
まとめ|税金対策を事前に知ることで安心の老後資金計画を
金の売却には税金がかかりますが、長期保有の特例や特別控除を活用することで、課税額を大きく抑えることが可能です。将来に向けての資金計画として、いまから売却のタイミングや方法を考えておくことが重要です。
特に500g×7枚という規模の金を保有している方は、適切な税金対策を講じることで、より多くの資金を手元に残すことができるでしょう。購入証明の保管や分割売却など、できる準備を今から進めておきましょう。
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