誕生月に届く「ねんきん定期便」は、これまでの年金加入実績に基づいて将来の年金受取額の目安を知らせてくれる大切な通知です。「月6万円」といった数字を見ると、将来の生活に不安を感じる方も少なくありません。本記事では、この金額が何を意味するのか、加入年数を増やすことで本当に「倍」になるのかどうかを、具体例とともにわかりやすく解説します。
ねんきん定期便の「年金見込額」はどうやって計算される?
ねんきん定期便に記載されている年金額は、現在までの加入実績をもとに算出された「見込額(将来受給できる年金の見込み)」です。
この額は、以下の2つの年金制度の合計です。
- 国民年金(基礎年金):自営業や無職の人が対象(満額で月約6.7万円)
- 厚生年金:会社員・公務員が対象。報酬に応じて加算される
つまり、厚生年金に長く加入していれば、見込額はより多くなります。逆に、国民年金のみの人は月6万円程度にとどまることも珍しくありません。
「倍に増える」は本当?同じ年数だけ加入した場合の考え方
結論から言うと、同じ条件でさらに同じ年数だけ加入すれば、おおよそ「倍近く」にはなります。ただし、あくまで「同じ収入水準・加入条件」での継続が前提です。
たとえば、以下のようなシミュレーションが可能です。
- 現時点で厚生年金に20年加入 → 月6万円の年金見込額
- 今後も同じ収入でさらに20年加入 → 月6万円程度が上乗せされ、合計月12万円前後になる見込み
ただし、将来的な制度改正や物価変動、賃金の増減によって実際の受取額は変動する可能性があります。
厚生年金・国民年金それぞれの満額と増やし方
各制度の満額受給条件は次の通りです。
年金制度 | 満額支給条件 | 満額月額(令和6年度) |
---|---|---|
国民年金 | 20歳〜60歳まで40年間加入 | 約67,000円 |
厚生年金 | 報酬に比例+加入年数 | 人により異なる(平均14万円程度) |
厚生年金に長期間加入し、収入が高いほど年金は増加します。さらに、60歳以降も働いて保険料を払い続けることで、受給額は追加加算されていきます。
年金額を増やすためにできること
年金額を増やしたい場合、次のような対策が有効です。
- 厚生年金にできるだけ長く加入する:できれば65歳まで働く
- 収入を上げる:報酬比例のため、昇給・転職も年金額に影響
- 付加年金・国民年金基金に加入:自営業者の場合に活用可
- iDeCoや企業型DCでの資産形成:年金以外の備えとして重要
特に、60歳以降も働きながら厚生年金に加入し続けると「在職老齢年金」として加算されるため、将来の年金額に大きく影響します。
まとめ:加入年数と条件が同じなら、年金は“概ね倍”になる可能性あり
ねんきん定期便に書かれた年金額は、あくまで現時点の見込み額です。今後、同じ条件で同じ年数分加入を続ければ、受給額も比例的に増えていきます。倍近くになる可能性も十分ありますが、制度や収入の変化も加味して考えることが大切です。ねんきんネットや年金事務所で定期的に確認しながら、安心できる老後のための準備を進めましょう。
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