転職時や掛け持ち勤務の際に、うっかりして社会保険の加入期間が2社で重複してしまうことがあります。このようなケースでは、「保険料の二重支払い」や「年金記録の混乱」など不安になる点が多くあるものです。今回は社会保険が2社で重なった場合にどう対処すべきかを、実例を交えてわかりやすく解説します。
社会保険の加入重複が起こるケースとは
社会保険（健康保険・厚生年金）は、基本的に1つの会社でのみ適用される制度です。ただし、以下のようなパターンでは誤って2社で同時に手続きされることがあります。
- 退職月と入社月が同じで、退職手続き前に新会社が保険加入手続きを進めた
- 雇用契約と実際の勤務形態にずれがあり、予定外に保険加入対象となった
- 被保険者本人の意思と異なり、勤務日数・時間の変更が反映されなかった
これらはいずれも起こりうるミスであり、実務でも頻繁に見られます。
保険料は二重に引かれるのか？
二重に保険料を支払ったとしても、最終的には正しい保険料額に精算される仕組みになっています。国は1人に対して1つの社会保険適用を原則とするため、後日調査により過剰分は返還対象となる可能性があります。
例えば、6月中に前職（A社）と現職（B社）の双方で社会保険料が天引きされた場合、後から正当な事業所（通常は長く勤務予定のB社）へ一本化され、A社の分は清算されます。
重複加入が判明した際の対処方法
まず行うべきは、両社の人事・総務部門に事情を説明し、状況を確認することです。特に現職の雇用契約書に実態と異なる記載がある場合は、以下の手順で修正を試みましょう。
- 労働契約書の再確認（週5勤務か週2勤務か）
- 保険加入日と実際の勤務形態を一致させるための協議
- 誤加入分の社会保険料返還についての相談
それでも処理に時間がかかるようなら、最寄りの年金事務所に直接相談することで、行政側からの是正を受けることも可能です。
厚生年金の記録はどうなる？
厚生年金の加入履歴は、複数企業に重複して登録された場合でも、「被保険者記録照会」で状況を確認できます。特定期間に2社の記録があった場合は、正規の就労先の記録に統合される仕組みになっています。
日本年金機構のサイトから「ねんきんネット」に登録すれば、これまでの年金加入履歴も確認可能です。
提出が必要な書類と注意点
保険料精算や訂正処理には、会社経由または個人での「資格喪失届」や「被保険者証の返却」などが求められるケースがあります。必要な書類は以下のようになります。
- 資格喪失届（間違って加入した会社が提出）
- 健康保険被保険者証の返却（不要となる側）
- 年金事務所への申出書類（訂正が必要な場合）
いずれも会社の協力が不可欠なため、放置せず早めに相談することが重要です。
まとめ：二重加入は早めの相談でスムーズに解決できる
社会保険の重複加入は誰にでも起こり得るミスですが、早めに会社や年金事務所に連絡し、正確な加入先を一本化することでスムーズに解決できます。保険料の二重払いも原則的に清算され、年金記録も正しく整います。
放置しておくと将来的な年金受給額に影響する可能性もあるため、気づいた段階で積極的に動くことをおすすめします。
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