自動車保険は、事故歴や契約の継続状況などに応じて保険料が決定されるため、車の所有・廃車・買い替えの頻度が高い場合、保険料にどのような影響があるのか気になる方も多いでしょう。特に高齢者が短期間に何台も車を廃車にしているケースでは、保険会社の扱いがどうなるか、新規契約時に不利にならないかを解説します。
自動車保険の等級制度とは?
日本の任意自動車保険は「等級制度」に基づいて保険料が決まります。初めて保険に加入すると6等級からスタートし、無事故で1年ごとに1等級ずつ上がります。等級が上がるごとに保険料は割引され、逆に事故を起こすと等級が下がり保険料が割増になります。
そのため、車を廃車にしても、一定期間内であれば等級を引き継いで次の車の保険に適用することが可能です。この期間は多くの保険会社で「13ヶ月」程度とされており、その間に新たな車を購入し保険に加入すれば、等級はリセットされません。
廃車を繰り返すと保険に影響する?
たとえ廃車を頻繁に行ったとしても、「事故が原因でなければ」等級に直接的な影響はありません。しかし、事故によって車を廃車にすることが複数回あった場合、事故の件数が多ければ当然等級は下がります。
また、事故が原因でなくても、保険会社によっては契約者の運転履歴や契約履歴に基づいてリスクを評価し、新規契約時に保険料が高めに設定されることがあります。特に高齢者の場合、年齢によるリスク評価も加わるため、さらに影響を受けやすくなります。
新規契約でも割増になるケースがある
新規登録(新たな契約)で車を保険に入れる際、過去の契約履歴が共有されない「完全な新規」扱いとなると、初期の6等級からスタートし、事故歴が考慮されません。これは新規参入者や長期間保険に未加入だった人に該当します。
しかしながら、同一人物が過去に他社で保険に加入していた場合や、事故歴が多いと保険会社側が判断する場合、「告知義務違反」に注意が必要です。過去の事故歴を申告しなかったことで契約が解除されたり、将来的な保険金支払いが拒否されるリスクがあります。
高齢者の保険加入における審査基準
高齢ドライバーは、保険料の面で若干不利な傾向があります。多くの保険会社が75歳以上の契約者に対して、過去の事故歴や運転状況を重視し、「高リスク契約者」として保険料を高く設定することがあります。
そのため、保険料を抑えるには、安全運転の継続やドライブレコーダー割引などの特典を活用することが有効です。また、一定期間無事故で等級が上がっていれば、車両の買い替え後でも同じ等級で契約可能です。
実例:短期間で5台を廃車したケース
70代後半の男性が、1年で5回の車買い替えを行った事例では、2回が事故による全損、3回が車検前の下取りでした。等級の引き継ぎはできたものの、2回の事故で3等級ダウンとなり、保険料が年間3万円ほど上昇しました。次回の契約時には、保険会社から「慎重な車選びと安全運転」を促されました。
まとめ:廃車の回数よりも事故歴と継続性が重要
自動車保険においては、廃車の回数そのものが保険料に影響するわけではなく、事故歴や等級の引き継ぎの有無が重要なポイントです。頻繁な廃車や買い替えを行う場合も、無事故であれば等級を保ちつつ保険を継続できます。
特に高齢の契約者は、過去の運転履歴や事故歴が保険料の算定に大きく関係するため、記録を整理し、信頼できる保険代理店や窓口での相談をおすすめします。
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