社会保険の扶養に入っているパート勤務者にとって、収入の増加は扶養から外れるかどうかの大きな判断材料になります。特に賞与などの一時的な収入が加わった場合、どのように扶養認定に影響するかは慎重に考えるべきです。この記事では、社会保険の扶養範囲にとどまりながら働くためのポイントや、一時的な賞与収入に対する取り扱いについて詳しく解説します。
社会保険の扶養の条件とは?
被扶養者となるためには、収入が年間130万円未満(60歳以上や障害者の場合は180万円未満)であり、かつその収入が扶養者の収入の半分未満であることが原則条件です。ここで言う「収入」とは、給与や賞与などを合算した見込み年収を基準とします。
なお、勤務先の健康保険組合などが定める細かい基準があるため、確認が必要です。
一時的な収入と扶養判定
一時的な収入とは、恒常的ではない収入を指します。たとえば、臨時の賞与、退職金、短期の臨時手当などが該当します。これらが「一時的で今後継続しない」ことを証明できれば、130万円を超えても被扶養者として認定される可能性があります。
ただし、証明には事業主の協力が不可欠です。支給理由や今後の予定を記した文書や証明書などが必要になるため、事前に準備が必要です。
複数年に分けて一時的収入がある場合の扱い
質問のように「R7年とR9年に賞与を受け取り、R8年とR10年は0円にする」といった収入コントロールを行う場合も、注意が必要です。
扶養判定は原則として「今後1年間の見込み収入」で判断されます。そのため、年ごとに扶養判定が見直され、賞与のある年には再審査が行われる可能性が高いです。各年ごとに一時的な収入である証明を提出できれば扶養継続も可能ですが、審査が厳しくなる場合もあります。
注意:繰り返し一時金を受け取っていると、「実質的に恒常的な収入」とみなされるリスクがあるため、慎重な対応が必要です。
扶養から外れた場合の影響と選択肢
もし扶養から外れると、以下のような影響があります。
- 自分で健康保険・年金に加入する必要がある
- 保険料・年金保険料の負担が発生する(年間20万円以上になるケースも)
- 税制上の配偶者控除なども外れる可能性がある
そのため、賞与の受け取り額が大きくない場合は、「賞与を受け取らない」「給与額を調整する」などの方法で扶養範囲内にとどめるのも一つの手段です。
具体的な対策の例
たとえば、年間給与が120万円で賞与が20万円の場合、合計で140万円となり扶養判定から外れる可能性があります。そのため。
- 賞与を5万円に抑えて、年間125万円に収める
- 賞与を受け取らずに他の福利厚生で調整する
- 年2回に分けて賞与を分散し、一時的収入としやすくする
などの工夫が有効です。いずれも事業主と十分に話し合うことが重要です。
まとめ
社会保険の扶養範囲で働き続けるためには、年間の見込み収入に注意し、賞与などの一時的な収入に対する扱いを慎重に検討する必要があります。複数年にわたる賞与が一時的と認められるかは、証明書類の提出と事業主の協力次第です。不安な場合は、早めに健康保険組合や社会保険労務士に相談することをおすすめします。
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