他県への引越しは、生活環境が大きく変わるだけでなく、各種行政手続きも必要になります。中でも健康保険証に関する手続きは、多くの方が見落としがちです。今回は、転居によって健康保険証がどうなるのか、どんな手続きが必要なのかを解説します。
他県に引越したときの健康保険証の基本的な考え方
健康保険証は、加入している保険制度により取り扱いが異なります。大きく分けて「国民健康保険」と「勤務先を通じた健康保険(協会けんぽや健康保険組合など)」の2種類があります。
たとえば、市区町村ごとの運営となる国民健康保険に加入している場合、住所変更に伴って保険者も変わるため、引越し前の保険証は使用できなくなります。一方、勤務先の健康保険に加入している場合は、勤務先が変わらない限り、基本的には保険証はそのまま使えます。
国民健康保険の場合の手続き
国民健康保険に加入している方が他県に引っ越す場合、以下のような手続きが必要です。
- 旧住所の市区町村役所で「国民健康保険の喪失届」を提出
- 新住所の市区町村役所で「国民健康保険の加入手続き」を行う
このとき、旧保険証は返却する必要があり、新しい保険証が発行されます。保険証が切り替わるまでの間に医療機関を利用する予定がある場合は、窓口に相談して一時的に10割負担→後日還付という対応になることもあります。
勤務先の健康保険に加入している場合
勤務先を変えずに引越す場合は、基本的に健康保険証は継続して使用できます。ただし、勤務先の人事部や総務部に住所変更の届け出を忘れずに行いましょう。この手続きが遅れると、保険証や年金関連の通知が旧住所に送付されるなどのトラブルが発生します。
もし転職して新しい勤務先に変わる場合は、健康保険の資格も変わるため、新しい保険証が発行されます。
医療費の還付や資格喪失後の扱いにも注意
旧保険証の資格喪失日から新保険証の交付日までの間に通院などをした場合、医療費の全額を一時立替えし、後日還付手続きをする必要があります。この場合、医療機関のレシートや明細書が必要です。
また、資格喪失後に保険証を使用してしまうと、後日保険者から医療費の返還を求められることがあるため、資格の有無の確認は慎重に行いましょう。
引越し時に忘れずにしたいチェックリスト
- 保険の種類(国保か社保か)を確認
- 国民健康保険なら旧市町村で喪失、新市町村で加入手続き
- 会社員なら会社への住所変更連絡を忘れずに
- 保険証の有効期限・交付タイミングを確認
- 医療機関を利用する予定があれば早めの手続き
まとめ:転居時の保険証は制度によって扱いが異なる
他県への引越しでは、国民健康保険と勤務先の健康保険で対応が大きく異なります。住所が変わる=保険証もそのまま使えるとは限らないため、早めに自分の保険の種類を確認し、必要な手続きをスムーズに進めましょう。
医療を安心して受けるためにも、引越し前後の健康保険の確認はとても重要です。
コメント