配当金を受け取ると、源泉徴収により所得税・住民税が自動で引かれるため、「これで納税は完了」と考えている方も多いかもしれません。しかし、自治体から別途納付書が届いた場合、「二重課税では?」と不安になるのも無理はありません。本記事では、この仕組みの正体と正しい対処法について、わかりやすく解説します。
配当金の課税方式には2種類ある
配当所得には、主に以下の2つの課税方法が選べます。
- 申告不要制度(源泉徴収のみ):証券会社で税金が自動的に引かれる
- 申告分離課税 or 総合課税(確定申告が必要):税額を調整・還付の可能性あり
多くの人が利用しているのは「申告不要制度」で、これにより所得税15.315%、住民税5%があらかじめ引かれています。これで納税は一見完結したように見えます。
それでも納付書が届く理由とは?
納付書が届いた理由の多くは、「住民税における申告不要の扱いを自治体が反映していない」ことにあります。市区町村には、証券会社から支払調書が提出されるため、自治体がその情報を基に課税処理をするケースがあるのです。
特に「確定申告で所得税は申告不要としたが、住民税は個別に申告不要の申出をしていない」場合、自治体側は配当所得を他の所得と合算して課税対象と見なし、住民税の追加納付を求めてくる可能性があります。
配当金の住民税の二重課税を避ける方法
以下の対応をしていれば、二重課税は基本的に避けられます。
- 確定申告をする場合、「住民税・事業税に関する事項」の欄で「申告不要」を選択
- 申告しない場合は、住民税に関する申出書を市区町村に提出
このひと手間を忘れると、住民税だけで課税が二重になる恐れがあります。
例:ある投資家のケーススタディ
たとえばAさん(65歳・無職)は証券口座で配当所得が年間80万円あり、源泉徴収ありで税引後の金額を受け取っていました。確定申告は行わなかったものの、翌年市から住民税の納付書が届きました。
これは市区町村が「支払調書」を見て配当所得に住民税を課税したためです。Aさんは「申告不要制度」を選んだつもりでしたが、住民税に関する申出を怠ったことが原因でした。
住民税の二重課税が起きた場合の対処法
すでに納付書が届いてしまった場合、以下の方法で確認・対処が可能です。
- 市区町村の税務課へ連絡し、源泉徴収済みである旨を伝える
- 住民税申告不要の意思表示があるか確認
- 誤って課税された場合、修正申告または異議申し立てが可能
配当所得の申告方法が複雑なため、国税庁の情報や税理士などの専門家への相談をおすすめします。
まとめ:配当金の住民税は「申告不要」の意思表示がカギ
配当金にかかる住民税で二重課税を防ぐには、「申告不要の意思表示」を住民税側にも行うことが重要です。証券会社で源泉徴収されたから安心と思わず、市区町村への確認や必要書類の提出を忘れずに対応することで、余計な税金支払いを防げます。配当収入がある方は、毎年の確定申告・住民税申告に気をつけて、適正な納税を心がけましょう。
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