退職や無職期間により国民年金の「納付猶予」を申請した方は少なくありません。特に若い世代にとって、「追納すべきか、そのままで良いのか」は判断が難しい問題です。今回は3ヶ月の納付猶予を受けたケースを例に、将来の年金受給額への影響や、追納すべきかどうかの考え方について解説します。
納付猶予制度とは?免除制度との違い
納付猶予制度とは、一定の条件を満たせば保険料の支払いを先延ばしにできる制度です。将来の年金受給資格期間にはカウントされますが、年金額には反映されません。
これに対して、保険料免除制度は「支払い義務そのものが免除される制度」であり、部分的に年金額へ反映されるものの、全額支払った場合よりは受給額が少なくなります。
追納とは?どれくらい損得に影響があるのか
追納とは、猶予または免除された期間の保険料を後から支払うことです。原則10年以内なら追納が可能で、年金額にその分が反映されます。
具体的には、国民年金の保険料を1ヶ月分追納すると、将来の年金額が年間約1,600円(月額で約133円)増えます。3ヶ月分であれば、年間約4,800円、月額で約400円程度年金が増える計算になります。
追納のメリットと注意点
メリット:老後の年金額が確実に増えるため、長生きすればするほど得になります。例えば月400円増額されれば、20年受け取った場合は約96,000円もの差が出ます。
注意点:猶予から2年を過ぎると加算金(利子のようなもの)がつくため、追納を考えるなら早めの判断が重要です。また、現在の収支に余裕があるかも考慮する必要があります。
追納すべきか?判断のポイント
以下のポイントを参考にすると判断しやすくなります。
- 長期的なライフプランにおいて老後の生活資金が重要と考えている
- 収入が安定し、3ヶ月分の追納(およそ5〜6万円)を無理なく支払える
- 将来にわたって年金を少しでも多く受け取りたい
逆に、「資金に余裕がない」「老後は自助努力で備える方針」という方は、無理に追納する必要はないともいえます。
実際の追納方法と手続きの流れ
追納を希望する場合は、お近くの年金事務所や市区町村の窓口で「追納申込書」を提出します。申込後に納付書が郵送されるため、それを使って支払いを行います。スマホ決済や口座振替など支払方法も複数あります。
手続き時には「基礎年金番号」や本人確認書類が必要となるため、あらかじめ用意しておきましょう。
まとめ:迷ったらまずは年金事務所でシミュレーション
納付猶予を受けた期間の追納は、将来の年金額に確実に反映される大事な選択肢です。たった数ヶ月でも、長期で見れば大きな違いとなる可能性があります。
無理なく支払えるなら追納を前向きに検討する価値がありますが、不安がある方は年金事務所で将来の年金額の試算を依頼してみるとよいでしょう。専門家に相談することで、より安心して判断できるようになります。
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