退職後は収入が減る一方で、国民健康保険料や住民税といった税負担が発生しやすくなります。特に退職直後の翌年度は「現役時代の年収」が課税根拠となるため、想定外の支払いに驚く人も少なくありません。本記事では、年収510万円で退職した61歳のケースを想定して、翌年度の国民健康保険料と住民税の概算と、注意すべきポイントを解説します。
退職後の税金・保険料はいつの所得で決まるのか
日本の税制度では、翌年の住民税と国民健康保険料は「前年の所得」を基に計算されるのが基本です。そのため、令和6年に退職した場合、令和7年度(2025年度)の税額や保険料は、退職前の年収510万円が根拠となります。
収入がゼロになっていても、前年の所得が高い場合、支払額は大きくなります。特に年金未受給者や再就職の予定がない方は要注意です。
住民税の概算:年収510万円の場合
住民税は「所得割」と「均等割」から構成され、所得割は10%(市民税6%、県民税4%)、均等割は約5,000〜6,000円程度が課されます。
概算として、年収510万円(給与所得)で扶養なしの場合、翌年度の住民税は約25〜30万円程度が目安となります。特別徴収で払っていた方も、退職後は普通徴収となり、4回払い(6月・8月・10月・翌年1月)で請求されます。
国民健康保険料の試算:地域差に注意
国民健康保険料は、市区町村によって大きく異なるため、正確な金額を把握するには自治体の保険年金課への確認が必要です。
一般的に、年収510万円の単身者の場合、年間保険料は40万〜50万円前後になることがあります。これには所得割、均等割、平等割が含まれ、地域によっては医療分、支援金分、介護分の3つの保険料区分があります。
保険料と税の負担を軽減する方法はある?
退職後に収入が激減する場合でも、以下のような軽減措置が存在します。
- 国民健康保険の減免申請:退職理由や収入状況によっては保険料の軽減が受けられる可能性があります。
- 住民税の減免・分割申請:納税が困難な場合、市区町村に相談して分割納付や猶予制度を利用することが可能です。
- 退職所得控除の活用:退職金が支給された場合は、退職所得として優遇課税が受けられるため、確定申告で過剰な課税を避けられます。
高額になりやすい初年度をどう乗り切るか
退職した年の翌年度は、前年の収入があるため税・保険料が割高になります。これを乗り切るための工夫も重要です。
例えば、任意継続被保険者制度を利用することで、2年間は退職前の健康保険に加入し続けることができます。保険料の計算方法が異なるため、場合によっては国保より安くなるケースもあります。
まとめ:退職後も税金と保険料の備えは必須
年収510万円で退職した場合、翌年度の住民税と国民健康保険料は合わせて60万円を超える可能性があります。特に収入がなくなる61歳以降の生活設計において、税と社会保険の支払い計画は極めて重要です。
地域の窓口や税理士などに相談しつつ、任意継続や減免申請などの制度を上手に活用しましょう。退職後の支出をコントロールし、安心した生活を送るためには、正確な情報と準備がカギとなります。
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