会社を退職するとき、社会保険料の負担に関して思わぬ損得が発生することがあります。特に「給与が翌月に支払われる」「退職日が月末か月初か」など、些細なタイミングの違いが保険料に大きな影響を及ぼします。この記事では、3月末退職・4月給与受取といったケースを例に、退職と社会保険料の正しい関係をわかりやすく解説します。
社会保険料は「在籍月」に発生する仕組み
まず大前提として、社会保険料は給与支給日に関係なく、在籍していた月に対して発生します。つまり、3月末で退職すれば、4月の給与支給があっても「4月は社会保険料がかからない」ことになります。
たとえば、
・3月末退職→4月給与支給:社会保険料は3月分まで
・4月1日退職→4月給与支給:4月分も保険料が発生
報酬月額と標準報酬月額の決定ルール
社会保険料は「標準報酬月額」に基づいて決まります。これは原則として、4〜6月に支給された給与の平均をもとに9月から翌年8月までの保険料が決定されるというルールです。
ですが、4月以降に在籍していない場合はこのルールの対象外。3月で退職していれば、4〜6月の給与がたとえ高くても、その平均は無効になります。
実例:3月末退職と4月1日退職の違い
たとえば、以下のような比較が可能です。
項目 | 3月末退職 | 4月1日退職 |
---|---|---|
社会保険料 | 3月分まで | 4月分も発生 |
健康保険・年金料 | 1か月分少なくて済む | 1か月分多くかかる |
給与の支給日 | 4月でもOK | 同じく4月支給 |
このように、退職日を「3月末」か「4月1日」にするかだけで、社会保険料の負担に1〜2万円以上の差が出ることがあります。
退職後の選択肢:国保と任意継続
退職後は社会保険から抜けることになるため、国民健康保険か任意継続被保険者制度を選ぶ必要があります。
- 国民健康保険:前年の所得によって保険料が決まるため、前年の給与が高いと保険料が高くなる
- 任意継続:退職時の保険を最長2年継続できる制度。ただし退職後20日以内の手続きが必要
どちらが得かは所得・家族構成・自治体によって異なるため、事前の比較がおすすめです。
まとめ:退職日と保険料の関係は「在籍日」がカギ
給与の支給日が4月でも、3月末で退職していれば4月分の社会保険料は発生しません。逆に、4月1日に1日でも在籍していれば、丸1か月分の社会保険料が請求されるため、退職日には注意が必要です。
将来的に無職やフリーターを予定している場合、わずか1日の在籍が大きな支出差を生むこともあります。社会保険料の仕組みを理解し、手取りの最適化に役立てましょう。
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