「毎月手取り収入の20%を貯金しなさい」というのは、お金に関する多くの指南本やファイナンシャルプランナーが推奨する資産形成の基本ルールです。しかし、イデコ(iDeCo)やNISAといった投資型の制度に積み立てをしている場合、それを“貯金”とみなして良いのか悩む人も少なくありません。この記事では、現代のライフプランに沿った「貯金」と「投資」の考え方をわかりやすく整理していきます。
そもそも「貯金」とは?投資とどう違う?
貯金とは、元本が保証された形でお金を蓄えることを指します。銀行の普通預金や定期預金が代表的です。元本割れのリスクがなく、必要なときに引き出せるという点で、安心感が高いのが特徴です。
一方、投資はリスクとリターンを伴う資産運用で、iDeCoやNISAのような制度を通じて将来に備える形も含まれます。市場の変動によって資産が増えることもあれば減ることもあるため、「安全資産」ではなく「成長資産」と考える必要があります。
iDeCoとNISAは貯金とカウントしていいのか?
結論から言えば、iDeCoやNISAは“貯金とは異なるが貯蓄の一部としてカウントできる”と考えるのが一般的です。
iDeCoは老後資金を積み立てる制度であり、原則60歳まで引き出しができません。つまり流動性が低く、「いつでも使えるお金」という意味での貯金とは言えません。NISAは引き出しが可能ですが、元本保証はありません。
したがって、iDeCoやNISAは将来に備える“長期的な資産形成”、貯金は“緊急時に備えるための安全資金”と使い分けるのが良いでしょう。
貯金と投資の理想的なバランスとは?
貯金と投資の比率に正解はありませんが、一般的な目安としては以下のような分け方があります。
- 生活防衛資金(生活費の3~6ヶ月分):普通預金や定期預金で確保
- 短期~中期の目標(3年以内の使い道):元本割れリスクの低い商品を活用
- 長期的な資産形成:iDeCo、NISA、特定口座での投資信託
たとえば手取り月収が30万円なら、20%にあたる6万円を貯蓄に回すとして、2万円を現金貯金、4万円を投資(iDeCoやNISA)に回すようなバランスも考えられます。
具体的な事例でイメージしよう
ある30代会社員Aさんのケースを例に見てみましょう。
Aさんは手取り30万円のうち、iDeCoに2万円、NISAに3万円、残り1万円を定期預金に積立しています。この場合、貯蓄率は20%で問題ありません。ただし、急な出費に備えて別途現金で生活費3か月分(約90万円)を用意しておくことを推奨されました。
このように、目的別に貯蓄と投資の役割を分けることで、バランスの取れた家計運営が可能になります。
20%を貯金に回す必要はあるのか?
すでにiDeCoやNISAに十分な額を投資している場合、それを資産形成として評価するのは妥当です。無理にさらに20%を現金貯金に回す必要はありません。
ただし、「万が一に備える資金」が十分でない場合は、一定の現金貯金を確保する必要があります。緊急資金が足りていない場合、イレギュラーな出費で資産を取り崩すリスクが生じます。
まとめ:イデコ・NISAは将来の“貯蓄”、現金は“今の備え”
手取りの20%を貯蓄にというルールは、あくまで“資産形成の目安”です。iDeCoやNISAもその一部として十分にカウントできますが、それに加えて緊急時に備える現金貯金を併せ持つことが大切です。
目的に応じた資産の使い分けを意識すれば、将来への安心感も増し、無理のないマネープランが実現できます。
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