フリーランスや自営業、退職後の方など、多くの人が関わる「国民健康保険（国保）」。ですが、具体的な仕組みや保険料の算出方法、会社員の健康保険との違いなどを正確に理解している方は少ないかもしれません。この記事では、国民健康保険の基本から加入条件、保険料、そして活用する際の注意点まで詳しく解説します。
国民健康保険とは？
国民健康保険（通称「国保」）は、会社員などが加入する健康保険とは異なり、自営業者・フリーランス・無職の人などが加入する公的医療保険制度です。各市区町村が保険者となり、加入者からの保険料をもとに運営されています。
医療機関で診療を受けた際の医療費のうち、70％を国保が負担してくれるため、自己負担は原則3割で済みます。
国保の加入対象者
以下のような人が国民健康保険の加入対象となります。
- 自営業やフリーランスなど、会社に属さず働いている人
- 退職後に会社の健康保険を脱退した人
- 専業主婦（会社員の扶養に入っていない人）
- 留学生や短期滞在でない外国人など、住民票がある人
反対に、会社員や公務員など、健康保険（協会けんぽや組合健保）に加入している人は対象外です。
国民健康保険の保険料の計算方法
国保の保険料は、「前年の所得」に基づいて決まります。自治体ごとに計算方法は多少異なりますが、主に次のような要素で構成されます。
- 所得割：前年の所得に対して課せられる部分
- 均等割：加入者1人あたりにかかる定額
- 平等割：1世帯単位で課せられる部分（市区町村による）
- 資産割：保有する不動産などに基づく（現在は廃止傾向）
たとえば東京都世田谷区の場合、年収300万円・4人家族（本人・配偶者・子2人）では年間約30〜40万円ほどが目安になります。
健康保険との違いとメリット・デメリット
| 比較項目 | 国民健康保険 | 会社の健康保険 |
|---|---|---|
| 保険者 | 市区町村 | 協会けんぽ・健保組合など |
| 保険料の負担 | 全額自己負担 | 労使折半（会社と折半） |
| 給付内容 | 基本的に医療給付のみ | 出産手当金・傷病手当金などあり |
| 扶養制度 | なし（家族ごとに保険料がかかる） | あり（扶養家族の保険料不要） |
国保は誰でも入れる代わりに手厚い保障は少なめです。一方で、会社員が加入する健康保険には傷病手当金や出産手当金など、生活支援のための給付も多くあります。
加入・脱退の手続き方法
加入する場合：
退職や扶養から外れた日から14日以内に、市区町村の窓口で加入手続きを行います。必要書類は次のとおりです。
- 本人確認書類（マイナンバーカードなど）
- 退職証明書または健康保険資格喪失証明書
- 印鑑や通帳など（保険料口座振替登録用）
脱退する場合：
就職などで健康保険に加入した際は、国保の脱退手続きが必要です。この場合も14日以内に手続きを行いましょう。
まとめ
国民健康保険は、自営業者や退職者などが加入する医療保険制度で、会社の健康保険とは保険料の負担や保障内容に大きな違いがあります。全額自己負担である一方、誰でも加入できるという点が特徴です。
加入時は住んでいる自治体によって保険料や制度の細部が異なるため、必ず市区町村の公式サイトや窓口で詳細を確認しましょう。正しい知識を持って制度を理解することで、無駄なく安心して医療サービスを利用できるようになります。
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