首都圏で実家暮らしを続ける50歳独身男性が、年収500万円(手取り400万円)で堅実に生活し、ボーナスを全額貯金する姿勢は一見すると堅実そのもの。しかし、「老後は安泰」と言い切れるかどうかは、もう少し踏み込んだ視点が必要です。
現在の家計状況を整理してみる
月収22万円(手取り)の全額を生活費に充て、年間ボーナス100万円をすべて貯金に回すスタイル。年間支出は約300万円、貯蓄額は100万円で、貯蓄率25%となります。
実家暮らしで家賃負担がなく、収支バランスだけを見れば健全に見える一方、可処分所得をすべて使い切っている点には注意が必要です。
老後資金は十分に準備できているのか?
仮に現在の貯金がゼロとして、毎年100万円ずつ貯金を続けた場合、65歳までの15年間で貯まるのは1,500万円。これに年金が加わるとはいえ、住居費の上昇や医療・介護負担を考えると「安泰」と断言するのはややリスクが高いかもしれません。
厚生労働省のモデルでは、老後資金には2,000万円〜3,000万円が必要と言われています。
可処分所得の“全額消費”がもたらす見えないリスク
生活に無駄遣いがなかったとしても、手取り22万円を毎月使い切るスタイルは、突発的な支出や予期せぬ出費に対する備えが不足しがちです。
たとえば、将来的に実家を出て一人暮らしを始めることになった場合、家賃・水道光熱費・家具購入などで初期費用がかさみます。そのときに生活の基盤が大きく崩れる可能性があります。
「結婚したい」場合の資金準備と課題
結婚を考えるなら、住居取得・結婚費用・将来の教育費など、より大きな資金が必要です。月収22万円での生活が続く中で、これらの費用を捻出するには計画的な資産形成が必須です。
理想的には、NISAやiDeCoなどの積立型資産運用も取り入れ、長期的な視点でリスク分散した備えをしておきたいところです。
将来設計のために今できること
- 生活費を少し見直し、毎月数万円を投資や緊急資金に回す
- 支出の記録を可視化して「固定費>変動費」の見直し
- 年金や退職金の将来見込み額をシミュレーションする
これらを習慣化することで、収入に見合ったより持続可能な家計バランスを築くことができます。
まとめ:現状は健全でも「老後安泰」とは限らない
手取り400万円・年間貯蓄100万円という数字だけを見ると堅実に見えますが、「老後は安泰」と言えるには、今後の生活変化・医療費・住宅コスト・結婚や家族形成などの不確定要素を織り込んだ上でのシミュレーションが重要です。
将来に向けた準備を早めに始めることで、より安心できるライフプランが描けるはずです。
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