傷病手当金は、病気やケガによって働けない期間に生活を支える大切な制度です。しかし、体調の回復により就職活動を再開し、内定を得た場合、「いつまで請求できるのか?」「収入の空白期間をどう補うのか?」といった不安も生じます。今回は、再就職が決まった際の傷病手当金の取扱いや、収入ゼロを避けるための支援制度について詳しく解説します。
就職が決まった時点で傷病手当金はどうなる?
傷病手当金の支給条件には、「労務不能であること」が明記されています。そのため、「内定が決まっただけ」では支給終了にはなりません。重要なのは、実際に就労を開始した日からが判断基準となります。
たとえば10月1日から勤務開始予定の場合、9月末までは体調に問題がなければ引き続き請求が可能です。ただし、勤務開始前に「就労可能」と医師が判断し、出勤できる状態とされた場合には、支給が打ち切られることがあります。
採用日が決まったら即打ち切りになる?
結論としては、採用が決まった=支給停止ではありません。実際に働き始めて収入を得た日、あるいは就労可能と医師が判断した日以降が支給停止の対象です。ですので、7月31日までは労務不能であれば請求可能であり、8月1日に内定をもらってもその事実だけで即日支給が止まることはありません。
ただし、申請書には「就労状況」や「医師の意見」を記載する必要があり、不実記載は後日返還の対象になるため、正確に報告しましょう。
8月・9月の無収入期間に使える制度
傷病手当金の支給対象外になると、収入がゼロになる可能性があります。そんな場合に検討できる制度がいくつかあります。
- 失業給付(雇用保険):退職後すぐに働ける状態であれば、ハローワークで失業手当の受給申請が可能。ただし、傷病手当金を受給中は「求職活動可能」ではないとみなされるため、重複はできません。
- 生活困窮者自立支援制度:自治体で生活支援や就労支援、家賃補助などが受けられる制度があります。
- 傷病手当金延長支給:支給期間(原則1年6か月)内であれば、一定の条件下で再申請できるケースもあります。
上記の支援制度の利用にはそれぞれ条件がありますので、ハローワークや市区町村の窓口に相談するのが安心です。
自立支援と医師の判断がカギ
今後の支給継続や打ち切りの判断には、医師の診断書が非常に重要です。就労が可能と見なされた場合や、自立支援医療の利用歴などは、支給可否の判断材料になりますが、必ずしも不利になるわけではありません。
たとえば「体調は回復傾向にあるが、フルタイム労働はまだ難しい」と医師が判断すれば、部分的に支給が続くケースもあります。自分の体調や生活状況を正直に医師に伝えたうえで、客観的な意見をもらうことが重要です。
まとめ:再就職予定があっても、働くまでは支給可能な場合が多い
内定が出ただけで傷病手当金が打ち切られるわけではありません。働き始めるまで、医師が「就労不能」と判断すれば引き続き支給されます。8月・9月の無収入リスクが心配な場合は、自治体の支援制度も早めに調べて活用を検討しましょう。制度の正しい理解と準備が、生活の安定とスムーズな社会復帰につながります。
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