専業主婦で子どもがいない場合、夫に万が一のことがあった際に年金がどうなるのか、不安に感じる方も多いでしょう。特に遺族年金制度は仕組みが複雑で、誤解されがちです。この記事では、子なし専業主婦が受け取れる可能性のある遺族厚生年金について詳しく解説し、老後に向けた備え方までご紹介します。
遺族年金の基本:2つの種類がある
日本の遺族年金制度は、大きく分けて2種類あります。
- 遺族基礎年金:国民年金加入者が対象。18歳未満の子がいないと受給できない。
- 遺族厚生年金:厚生年金に加入していた方が亡くなった場合に、一定の要件を満たす配偶者などに支給される。
つまり、子がいない専業主婦(=遺族基礎年金の対象外)であっても、夫が厚生年金に加入していた場合は「遺族厚生年金」を受け取れる可能性があります。
子どもがいない妻は遺族厚生年金を受け取れる?
答えは「一定の条件を満たせば受け取れる」です。具体的には、以下の条件のいずれかを満たす必要があります。
- 妻が40歳以上65歳未満で、生計を維持していた夫が亡くなった場合(「中高齢寡婦加算」付き)
- 妻が65歳以上で、自身の老齢年金より遺族厚生年金の方が高額な場合
つまり、40歳未満で子がいない場合、原則として遺族厚生年金は受け取れませんが、40歳を超えていれば条件付きで受給可能となります。
実際の例で考える:Aさんの場合
専業主婦のAさん(42歳)は、夫(会社員・厚生年金加入)が急逝。子どもはいません。夫の死亡時、Aさんは「40歳以上65歳未満」であったため、「中高齢寡婦加算」が付いた遺族厚生年金を受給することができました。
この加算額は年間約58万円程度(2024年度)とされており、老齢基礎年金を受給するまでの重要な生活資金となります。
将来の年金はどうなるのか?
遺族厚生年金は基本的に生涯受給できますが、65歳になると老齢年金(基礎年金+配偶者自身の厚生年金)との選択制となります。「どちらを選ぶか」で支給額が変わるため、年金事務所などでの試算がおすすめです。
また、専業主婦で年金受給額が少ない方は、遺族厚生年金が老後の収入の柱となるケースも少なくありません。
老後の生活設計に向けてできること
遺族年金だけでは生活が不安定になる可能性もあります。以下のような対策も検討しましょう。
- 日本年金機構の年金見込額試算を利用
- iDeCoやNISAなど、自主的な資産形成
- パート勤務などによる自分自身の厚生年金加入
制度だけに頼らず、自ら備えることが老後の安心に繋がります。
まとめ:専業主婦でも条件により遺族厚生年金は受給可能
子どもがいない専業主婦であっても、夫が厚生年金に加入していた場合には、一定の条件のもと遺族厚生年金を受け取れる可能性があります。
特に40歳以上であれば「中高齢寡婦加算」が適用されるケースが多いため、自分の年齢や条件に照らし合わせて確認しましょう。
年金制度を正しく理解し、老後に向けた備えを少しずつ始めることが、安心につながる第一歩です。
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