日本の公的年金制度では、厚生年金を受け取る金額は年収に比例しますが、年収が高ければ高いほど年金額が2倍、3倍になるわけではありません。年収450万円の人と900万円、さらには1,350万円の人が受け取る年金がほぼ同じという点について、多くの人が疑問に感じているかもしれません。この記事では、その理由と背景について解説します。
厚生年金の基本的な仕組み
厚生年金は、主にサラリーマンや公務員などが加入する年金制度です。給与に基づいて社会保険料を納め、その額に応じて年金額が決まります。しかし、年金額は単純に年収に比例して増えるわけではなく、さまざまな要因が影響します。
年金の計算は、報酬比例部分と基礎部分に分かれますが、特に報酬比例部分の計算においては、年収に上限が設けられており、年収が高くてもその影響を受ける部分に制限があります。
年収が高いほど年金が増えるわけではない理由
年収が倍になると、社会保険料の納付額も倍増しますが、それに対する年金の増額は必ずしも2倍や3倍にはなりません。これは、年金の計算においては「標準報酬月額」に上限が設定されているためです。この上限を超えると、それ以上の収入部分は年金額に反映されません。
たとえば、年収450万円のAさんと900万円のBさんでは、BさんはAさんの2倍以上の保険料を支払っていますが、年金額は2倍にはならず、差は5万円程度にとどまります。これは年金制度の設計上、年収の高い人が過剰に年金を受け取らないようにするためです。
年収1350万円でも年金が変わらない理由
さらに、年収が1,350万円のCさんも、年金額はほぼBさんと同じ20万円程度となる場合があります。これは、年収に関わらず、年金の上限に近い額で年金が計算されるためです。実際には、年収1,350万円の場合でも、年金額の増加はそれほど大きくなく、これが年金制度の特徴と言えます。
年金の計算方法には「天井制度」があり、ある一定の年収を超えると、追加の収入が年金額に反映されない仕組みになっています。これにより、年収が極端に高くても年金額の増加が制限されることになります。
年収が高くても年金が増えにくい背景
年金制度の設計の背景には、社会全体で公平性を保つための考慮があります。過剰に年金額が増えると、高所得者層に不公平感が生じるため、上限を設けてそのバランスを取っているのです。
また、厚生年金だけではなく、iDeCoや企業年金など、個人の年金制度を活用することで、将来的な年金額を増やすことができますが、公的年金に関してはこのように制限があります。
まとめ
年収が高ければ高いほど年金が増えるわけではなく、一定以上の年収には年金額の上限が設けられています。これにより、年収450万円のAさんと年収1,350万円のCさんが受け取る年金額がほぼ同じという現象が起こります。年金の上限設定は、社会保険料負担の公平性を保つための措置であり、年金額に関しては一定の制約があることを理解しておくことが重要です。
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