自宅の整理や相続の場面で、昔のお札、いわゆる「旧札」を見つけることがあります。伊藤博文の千円札や聖徳太子の一万円札など、かつて流通していた紙幣は今でも法的には有効ですが、使い勝手の悪さから銀行で入金したいと考える方も多いでしょう。しかし実際に窓口で手続きをした際、銀行員の対応に少し不安を覚えるケースもあるようです。今回は、旧札を入金した際に何が起きるのか、どんな点に注意すべきかを詳しく解説します。
旧札とは?法的には今でも使える有効なお金
まず知っておきたいのは、旧札(伊藤博文の千円札、聖徳太子の一万円札など)は現在も「日本銀行券」として有効な通貨であり、使えないわけではありません。ただし、店舗などでは断られることもあり、流通の実務上は不便です。
そのため、銀行の窓口で口座入金する、あるいは日銀で新券と交換してもらうという方法が一般的な対処になります。
銀行窓口で旧札を入金する際の流れ
旧札を持参して銀行で入金する場合、多くのケースでは通常の現金と同様に取り扱われますが、次のような点があると、担当者の確認対応が入る可能性があります。
- 一度に持ち込む金額が大きい(例:10万円以上)
- お札が極端に古い、劣化している、枚数が多い
- 出どころが不明瞭、あるいは説明が曖昧
今回のように、60枚以上の旧札(合計18万円分)を入金する場合、念のため上席者の承認を取るのは通常のオペレーションであり、「怪しまれている」わけではなく手続き上の確認と考えて問題ありません。
なぜ銀行員に質問されるのか?
銀行員が「このお金は家にあったものですか?」「なぜ今入金されるのですか?」といった質問をするのは、マネーロンダリング対策(犯罪収益移転防止法)に基づくもので、すべての現金取引において不審な点がないかを確認する義務があるからです。
相続や古銭の保管など、正当な理由であれば問題になることはまずありません。今回のように「母が保管していたもので使いづらいため入金した」と答えれば、通常はそれ以上の追及や問題にはなりません。
警察や税務署に通報される可能性はある?
18万円という金額であれば、よほど不審な点(偽造、複数回の同様取引など)がない限り、警察や税務署に通報されることは考えにくいです。
仮に1,000万円を超えるような現金の動きであれば、財務省の定める「現金取引等報告制度」に基づいて報告義務が発生する可能性もありますが、今回の事例はその範囲外です。
旧札の取り扱いに関する豆知識
旧札はコレクター市場でプレミアが付くこともあるため、きれいな状態であれば一度古銭商に査定を依頼するのも一つの方法です。
たとえば、聖徳太子の一万円札(未使用・連番・極美品)などは、額面以上で取引されることもあります。ただし、一般的な流通状態のものは額面通りの扱いになります。
まとめ|旧札の入金で不安を感じたら冷静に対応を
旧札を銀行に持ち込んで入金することは正当な行為であり、通常の手続き範囲です。銀行側の確認や一時的なやり取りに過剰に不安を抱く必要はありません。特に金額が数十万円程度であれば、税務署や警察に関わるような問題になることはまずありません。
大切なのは、出どころを正直に説明し、丁寧に対応すること。それだけでスムーズな入金処理が行われます。
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