副業やバイトの掛け持ちで資金を確保したいという人は少なくありません。しかし、一定の条件を満たすと、社会保険への強制加入が発生してしまうことがあります。本記事では、複数のアルバイト先で働いている場合における社会保険の加入条件について、制度の仕組みとともにわかりやすく解説します。
社会保険の加入は「1つの勤務先ごと」に判断される
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入対象となるかどうかは、原則として「1つの事業所」での勤務条件によって判断されます。複数のバイトの労働時間や給与を合算して加入義務が生じるわけではありません。
したがって、どの勤務先でも以下の要件をすべて満たしていなければ、社会保険への加入義務は原則発生しません。
- 週20時間以上の勤務
- 月額賃金8.8万円以上(年収106万円相当)
- 継続して2ヶ月以上勤務予定
- 従業員数101人以上の企業に勤務
- 学生でない
この「5つの要件」を1つの勤務先で満たした場合に、初めて社会保険加入が必要になります。
具体的なシミュレーション:このケースでは加入義務は?
質問者のケースでは、バイトを以下のように掛け持ちする予定とのことです。
勤務形態 | 時間 | 月収 |
---|---|---|
週4日・5時間 | 20時間/週 | 84,000円 |
週3日・5時間 | 15時間/週 | 73,800円 |
週1日・5時間 | 5時間/週 | 25,800円 |
合計すると週40時間に達しますが、それぞれの勤務先では週20時間を超えていない、または月収8.8万円未満である可能性が高いため、社会保険加入の条件を満たすバイト先はないと考えられます。
ただし、週4日5時間の勤務先が従業員101人以上の大企業であり、月収8.8万円以上、2ヶ月超勤務予定であれば、その勤務先では社会保険の加入が必要となる可能性があります。
社会保険に加入したくないときの注意点
加入を避けたい場合、勤務条件を以下のように調整する必要があります。
- 1つの勤務先で週20時間未満に抑える
- 月額賃金を88,000円未満にする
- 大企業での勤務を避ける(従業員100人以下)
- 短期雇用にとどめる(2ヶ月未満)
上記のうち複数を同時に満たすことで、社会保険の強制加入を防ぐことが可能です。
雇用保険には加入する必要があるか?
一方で、社会保険とは別に「雇用保険」もあります。こちらは週20時間以上の勤務が対象となり、事業所の規模に関係なく加入義務が発生します。
たとえば週4日5時間=20時間勤務があれば、その勤務先では雇用保険への加入が求められることがあります。雇用保険の加入には特別な申請は不要で、自動的に処理されることが多いです。
まとめ:社会保険加入の要点と掛け持ちバイトの注意点
複数のバイトを掛け持ちしていても、それぞれの勤務先で社会保険の加入条件を満たしていなければ、社会保険の加入は不要です。加入条件は「1つの勤務先ごと」に判断されるという点をしっかり覚えておきましょう。
収入を増やしたい時期こそ、制度の仕組みを理解して損のない選択をしたいものです。心配なときは勤務先に条件を確認し、自分の働き方に合ったスタイルで無理なく収入を得ることをおすすめします。
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