切断手術後に必要となる仮義足の費用は、一般的に非常に高額です。義足メーカーから「7割戻る」と案内されても、実際の自己負担額や高額療養費制度との関係はわかりにくいもの。本記事では、仮義足の費用が高額療養費制度の対象になるのかどうか、また自己負担が軽減される仕組みについて具体的に解説します。
仮義足の費用は「療養費制度」の対象となる
仮義足は、健康保険制度上「療養費(補装具費)」として扱われます。これは、治療の一環として医師が必要と認めた場合に、後から払い戻しを受けることができる仕組みです。
この場合、仮義足の費用は医療機関に支払う医療費ではなく、「補装具費」として7割(年齢等によっては8割や9割)が後から戻ってくる形式になります。
高額療養費制度との違いに注意
高額療養費制度は、病院で支払った医療費が月額上限を超えた場合に、その超えた分を払い戻す制度です。これに対し、仮義足などの補装具は、「療養費制度」で別枠に処理されるため、高額療養費制度の対象外となります。
つまり、仮義足にかかった60万円は、高額療養費の限度額と合算されず、あくまで「補装具費」として7割払い戻される形になります。
仮義足にかかる費用と払い戻しの流れ
- 義足費用:60万円
- 療養費制度による支給:42万円(7割)
- 自己負担額:約18万円
この18万円は高額療養費の対象ではないため、入院費などとの合算もできません。ただし、確定申告時に「医療費控除」として申告することは可能です。
なお、払い戻しには医師の意見書・領収書・装着証明などが必要となり、加入している健康保険(協会けんぽ、共済、組合健保など)に申請します。
入院費と仮義足の費用は別扱い
たとえば、6月に入院費が12万円、仮義足の費用が60万円だった場合、入院費は高額療養費制度の対象となり、自己負担が限度額(例:10万円)に調整されます。
一方、仮義足の費用は高額療養費の枠外で、7割支給され、自己負担18万円が残ります。この2つは別制度で処理されるため、合算して自己負担ゼロにすることはできません。
例外的に援助が受けられるケースも
ただし、生活保護受給者や市区町村の福祉医療制度を利用している方は、仮義足の自己負担分も補助対象となることがあります。住民票のある自治体に確認しましょう。
また、身体障害者手帳の交付を受けた後は、補装具費支給制度(障害者総合支援法に基づく)を利用できる可能性もあります。これにより、今後の義足費用はさらに軽減される可能性があります。
まとめ:仮義足の費用は「療養費制度」で7割支給、高額療養費とは別扱い
切断後に必要な仮義足の費用は高額ですが、以下の点を押さえると理解しやすくなります。
- 仮義足は高額療養費制度ではなく「療養費制度」で7割が戻る
- 残る3割(例:18万円)は高額療養費に合算されない
- 入院費などの医療費とは別処理になるが、医療費控除対象にはなる
- 生活状況によっては、自治体や福祉制度でさらなる補助を受けられる可能性あり
経済的に大きな負担となる場面だからこそ、制度を正しく理解して確実に手続きを進めましょう。
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