10月から全国平均で時給63円(約6%)の最低賃金引き上げが予定されています。扶養の範囲内(夫・親の健康保険や税の扶養)で働く方にとっては、時給アップにより月収が88,000円を超えないように調整する必要が出てくる可能性があります。しかし実際には「税金の壁」「社会保険の壁」「将来の保障」など、複数の視点から考えることが大切です。
最低賃金の引き上げと時給の目安
厚生労働省の審議会は、2025年度の最低賃金を全国平均で時給約1,118円(現行約1,055円から63円アップ)とする目安を示しました。これは過去最大の6%の引き上げです :contentReference[oaicite:0]{index=0}。
例えば現在時給1,055円で週20時間・月16日勤務の場合の月収は約84,400円ですが、時給1,118円になると約89,400円に上昇します。
月収88,000円が扶養内で重要な理由
・給与が月88,000円以上になると、年末調整の扶養控除申告書を提出していても、所得税の源泉徴収がかかる可能性があります(いわゆる乙欄での計算)。たとえば月88,000円なら約3,200円の所得税が引かれる例もあります :contentReference[oaicite:1]{index=1}。
・さらに、従業員数51人以上の事業所では、月88,000円以上の収入があると社会保険加入義務が発生し、扶養から外れるケースがあります(2024年10月以降のルール) :contentReference[oaicite:2]{index=2}。
年収ベースでの「税金の壁」と「扶養の壁」
・所得税が課されない「年収の壁」は、2025年以降は従来の103万円から123万円に引き上げられました(控除額の増加による) :contentReference[oaicite:3]{index=3}。ただし住民税は約100万円以上で課税対象になります :contentReference[oaicite:4]{index=4}。
・社会保険の扶養対象でいられる収入の上限は、「年収130万円未満」(交通費含む)。月収88,000円で年収換算約106万円を超えると、扶養を外れる可能性があります :contentReference[oaicite:5]{index=5}。
具体例で整理:時給アップ後の働き方と税負担
【例1】時給1,118円 × 月80時間(週20h×4週)=約89,440円
→月88,000円を超えるので所得税の源泉徴収が発生し、年間では年収約107万円となり所得税の対象・社会保険の扶養判定対象となる可能性あり。
【例2】勤務日数を調整して月77,000円程度に抑えると、扶養範囲内で税・保険ともに控除対象外となる可能性が高まります。
扶養内の働き方で考えるべきポイント
- 年末調整の扶養控除申告書を必ず提出し、「乙欄」ではなく「甲欄」で源泉徴収してもらう
- 通勤交通費や残業手当も月収・年収に含まれるので油断しない
- 社会保険に加入すると保険料負担が増えるが、傷病手当・出産手当・厚生年金など将来の保障が受けられるメリットもある :contentReference[oaicite:6]{index=6}。
まとめ:時給アップは歓迎だが収入コントロールがカギ
10月の時給63円アップにより、扶養内で働く方は月収88,000円のラインを超えやすくなります。超えた場合の税金や保険負担が気になるなら、勤務時間を調整して月収を抑えることが現実的です。
ただし、年収が130万円を超えたり社会保険に加入したりすることで、長期的に見て保障が手厚くなる可能性もあります。手取りだけでなく将来設計を含めて、働き方を選ぶことが重要です。
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