一時払い終身保険の「市場調整価格」と「積立利率」の違いとは?仕組みと活用法を解説

生命保険

一時払い終身保険は、まとまった資金を預けることで死亡保障を確保しつつ、運用益も得られる商品として人気があります。その中でも「市場調整価格」と「積立利率」は理解が難しいポイントの一つです。この記事では、この二つの違いをわかりやすく解説します。

市場調整価格とは何か?

市場調整価格(MVA:Market Value Adjustment)とは、中途解約時に適用される金額の調整要素です。具体的には、契約時の金利と解約時の市場金利の差によって、解約返戻金が増減します。

たとえば、市場金利が契約時よりも上がっている場合は「元本割れ」することがあり、逆に市場金利が下がっていると、解約返戻金が増えることもあります。この仕組みは、保険会社が長期運用を前提にしているため、市場金利の変動リスクを契約者にも一部シェアしてもらうためにあります。

積立利率とは?

積立利率とは、保険料を運用して増やすために適用される利率のことです。契約時にこの利率が確定し、それに基づいて死亡保険金や解約返戻金が将来的に計算されます。

この利率は保険会社があらかじめ設定しており、商品によっては一定期間ごとに見直されることもあります。長期間にわたって安定的に資産を増やす設計になっており、通常は「年〇%」という形で示されます。

市場調整価格と積立利率の違い

積立利率は「運用によってお金がどのくらい増えるか」を示す基準であり、市場調整価格は「途中で解約したときに受け取る金額がどう変わるか」に関係します。

例として、「積立利率2%」というのは、あなたが預けた保険料が年2%で増えていくという意味です。一方、「市場調整率4%」というのは、解約時に市場金利の影響で4%の価格変動があるという意味になります。これがプラスかマイナスかは市場次第です。

実例での違いのイメージ

たとえば、1000万円を一時払い終身保険に預けたとします。積立利率が2%で20年後には約1490万円になります(単利ではなく複利で計算)。これは予定された運用結果です。

しかし10年目で中途解約したとすると、仮に市場金利が上昇していた場合、MVAがマイナスに働いて解約返戻金が900万円まで減る可能性もあります。つまり、市場調整価格は運用の成績ではなく、タイミングによって変動するリスクのある調整項目です。

それぞれの意味を正しく理解して活用しよう

積立利率は保険の基本的な設計思想、市場調整価格はその設計を守るための「安全装置」とも言えます。長期運用を前提として利用すれば、積立利率に従って安定した資産形成が可能ですが、短期での解約や流動性を重視するなら市場調整の影響にも注意が必要です。

一時払い終身保険は相続対策や長期資産運用に適した商品ですが、特性を理解した上で契約することが大切です。

まとめ:目的に応じた設計と理解が重要

「積立利率」は将来の増加額、「市場調整価格」は中途解約時の変動リスクという位置づけです。それぞれの意味を理解すれば、自分に合った使い方ができるようになります。

資産運用として選ぶのか、相続目的で選ぶのかなど、目的に応じた選択をすることが最も重要です。気になる点があれば、保険会社やファイナンシャルプランナーへの相談もおすすめします。

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