「共働きで年収850万円もあるのに、なぜ貯蓄が思ったより少ないのか?」そんな疑問を持つ方は少なくありません。確かに、シミュレーション上では年間200万円以上の黒字が見込める家庭でも、現実の貯蓄状況とは大きなギャップがあるケースが多く見られます。本記事では、郊外・地方に住む標準的な正社員夫婦の家計モデルをもとに、そのカラクリと現実の落とし穴を読み解いていきます。
理想的な家計モデルを再確認してみる
以下は、地方在住・持ち家・車2台・子ども2人の想定で試算した年間支出モデルです。
- 住宅費:120万円
- 車関連費:100万円(ローン+ガソリン+保険+メンテ)
- 教育費:100万円(保育園・学費・習い事)
- 食費:100万円(外食含む)
- 光熱費:30万円
- 保険:30万円
- 通信費:20万円
- 小遣い:70万円(夫婦2人分)
- 旅行費:30万円
- その他雑費:30万円
合計支出は約630万円で、年収850万円(手取り)なら年間約220万円が貯蓄に回せるはずです。
なぜ「理論上の黒字」が実際の貯蓄に反映されないのか?
このようなモデルでも、実際には以下のような理由で黒字が目減りしていることが多いです。
- 突発的な支出(冠婚葬祭・家電故障・車検・医療費)
- 生活レベルの漸進的上昇(外食・レジャー・嗜好品)
- ボーナス頼みの家計運営による資金計画の甘さ
- クレジットカードによる支出管理の甘さ
- 子どもの進学・受験などのイベントで一時的に支出増加
特に「車検」や「固定資産税」など、定期的だけど見落とされがちな支出も家計を圧迫します。
貯蓄額と家計黒字の「ギャップ」の正体
統計上、40代の二人以上世帯の金融資産中央値は約400万円~500万円程度とされていますが、これは「あくまで中央値」であり、資産格差が大きい現実を反映しています。
一方で、地道に貯蓄している家庭は、10年〜15年で2,000万円〜3,000万円を超える貯蓄を実現しているケースもあります。その違いを分けるのは「支出の把握」「生活の最適化」「投資運用」の3点に集約されます。
実例:似たような年収でも貯蓄に差が出る家庭の比較
同じ年収でも、家計管理スタイルによって貯蓄額に大きな差が生まれます。
家庭A(支出管理が甘いケース)
収入850万円、支出計画なし、毎月家計簿をつけていない。気づけば年間支出が700万円を超えており、手元に残るのは50万円以下。
家庭B(支出管理が堅実なケース)
収入850万円、予算ごとに管理、固定費の見直しやふるさと納税なども活用し、毎年200万円近く貯蓄を増加。
「見えない支出」を見える化する習慣の大切さ
毎月の「固定費」や「生活費」だけでなく、「不定期支出(車検・保険・旅行・帰省)」を年間予算に織り込むことで、家計の全体像がつかめます。
また、PayPayやクレカなどキャッシュレス決済の利用が増えるなかで、支出の見える化アプリ(マネーフォワードなど)を使うことで、意識せず浪費している部分の可視化が進み、貯蓄率アップにつながります。
まとめ:収支の黒字と貯蓄額は必ずしも比例しない
表面的な年収や支出だけでは見えてこない「生活スタイルの差」が、実際の貯蓄額に直結しています。年収850万円の家庭でも、家計管理に甘さがあれば年間の貯蓄は数十万円に留まり、逆に賢く支出を抑えれば10年で数千万円の資産形成も可能です。
つまり「みんなお金を持っているのか?」の答えは「家計管理次第」。だからこそ、家計の見える化と習慣的な見直しが大切です。
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