退職後の生活を支える制度のひとつに「失業手当(正式名称:基本手当)」があります。多くの人が「仕事をしていたらもらえない」と思いがちですが、実は条件次第でパートや掛け持ちアルバイトをしていても受給できる可能性があります。今回はその仕組みと注意点について詳しく解説します。
失業手当の基本的な仕組み
失業手当とは、雇用保険に一定期間加入していた人が、就職活動をしながら生活を維持できるよう支給される給付金です。以下の条件を満たす必要があります。
- 退職前2年間のうち、雇用保険に通算12ヶ月以上加入していた
- 働く意思と能力があり、求職活動を行っている
- ハローワークに「求職の申込み」を行っている
つまり「完全に無職であること」ではなく、「就職の意思があり、積極的に求職していること」が大前提となります。
掛け持ちアルバイトをしていても受給できる?
実は、掛け持ちアルバイトをしていても就業時間や日数によっては失業手当を受け取ることが可能です。ポイントは「就職とはみなされない程度」であるかどうかです。
一般的に、1週間に20時間未満の労働、かつ31日以上の雇用見込みがない場合は「就職」とは判断されず、失業の状態とみなされることがあります。たとえば、週2日・1日4時間程度のバイトであれば、申告することで減額されつつも失業手当を受け取れるケースもあります。
申請しなかった場合の損失と救済措置
今回のように、制度を知らずに申請を見送ってしまうと、最大で数十万円の給付を受け損ねてしまう可能性もあります。
ただし、原則として失業手当の申請は「退職日の翌日から1年以内」に行う必要があります。この期間内であれば、遅れても手続きが可能な場合があります。該当するかどうか不明な方は、早めにお近くのハローワークに相談することをおすすめします。
実際の例で理解する「受給できるケースとできないケース」
ケース①:週1日・4時間のバイトをしていた場合
求職の意思があれば、失業の状態と認定され、失業手当が支給される可能性が高いです。バイト収入は報告義務がありますが、基本手当と合わせて収入が補填されます。
ケース②:週5日・1日6時間のバイトをしていた場合
この場合、常用的な就労と判断され、「就職した状態」となり失業手当は受け取れません。
病気療養後の退職と「傷病手当金」との関係
退職前に傷病手当金を受給していた場合、その後失業手当に切り替えることが可能です。ただし、両方を同時に受け取ることはできないため、どのタイミングで切り替えるか慎重な判断が求められます。
また、病気療養中で就職活動ができない場合は、「特定理由離職者」扱いで受給期間の延長申請も可能です。
まとめ:申請して初めて受けられる制度、知らないままにしないで
・掛け持ちバイトでも、労働時間や収入条件次第で失業手当は受給可能
・就職の意思と求職活動の実態がカギ
・申請は原則として退職日の翌日から1年以内に行うこと
・今からでもハローワークに相談して、受給の可能性を確認してみましょう
退職後の生活を守る制度は「知っている人」だけが得をします。少しでも不安があれば、躊躇せずハローワークに相談することが最善の一歩です。
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