履歴書や職務経歴書に記載する職歴は、採用の可否に大きな影響を与えるため、事実とは異なる期間を記載したくなる誘惑に駆られる人もいるかもしれません。しかし、日本では入社時に「雇用保険資格取得届」の提出が必要であり、その過程で過去の雇用履歴が確認されるため、経歴詐称は思っている以上にリスクの高い行為です。
雇用保険資格取得時に確認される情報とは
企業は新入社員を雇用する際、雇用保険の手続きを行うために「雇用保険被保険者番号」の取得または照会を行います。この番号は個人単位で一生変更されないため、ハローワークのデータベース上で過去の加入履歴が全て紐付いています。
企業が取得する情報には、前職の加入期間や退職年月日が含まれているため、仮に履歴書上で「1年勤務」と記載していても、実際には「半年」であることが簡単に判明します。
なぜ加入履歴は確認されるのか
雇用保険料の計算には、過去の雇用履歴が影響するケースがあります。たとえば、特定受給資格者に該当するか、給付制限があるかどうかといった点で、正確な通算加入期間の把握が必要です。そのため、企業や社会保険労務士は入社時に過去の雇用履歴を照会するのが一般的です。
この照会は、被保険者番号を通じて行われ、ハローワークの端末で前職の在籍期間などが即座に確認できます。
経歴詐称が発覚した場合のリスク
経歴詐称がばれた場合、採用取り消しや懲戒解雇の対象になる可能性があります。企業にとっては、「信用の置けない人物」という評価が下されるため、今後のキャリアにも深刻な影響を及ぼします。
特に職歴の改ざんは、単なるミスでは済まされないとされるケースが多く、重大なコンプライアンス違反として扱われます。
企業がすべての人の履歴を確認しているとは限らない？
一方で、中小企業や一部の事業所では、形式的な手続きに留まることもあります。そのため、必ずしもすべての企業が履歴を詳細にチェックしているとは限らないという実情も存在します。
しかし、入社後に発覚すればトラブルに発展することは十分にありえるため、リスクを抱える意味は薄いと言えるでしょう。
正直な申告が信用につながる
万が一、職歴に空白期間や短期離職があっても、正直に申告し、その理由や背景を説明することで逆に信頼を得ることができます。近年では「ジョブホッピング」も一定の理解が広がっており、短期間の在職が必ずしもマイナスにはなりません。
面接時には、具体的な業務内容やそこで得た経験を伝えることで、職歴の長さ以上に実績をアピールすることが可能です。
まとめ：雇用保険と職歴の一致が重要
経歴詐称は、企業の雇用保険手続きで簡単に発覚する可能性があります。特に被保険者番号と紐づけられた加入履歴は消すことができず、嘘がバレるリスクは常に伴います。たとえバレなかったとしても、不安や罪悪感が残るだけでなく、将来のトラブルの火種にもなりかねません。
最も重要なのは、自分の経歴に責任を持ち、正直に申告する姿勢です。誠実さはどんな職場でも評価されるポイントであり、長期的な信頼の構築につながります。
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