会社を退職した後、健康保険の切り替えには悩みがつきものです。特に引っ越しを伴う場合や、所得が変動する場合は、役所からの説明が曖昧になることも多く、判断に迷う方が少なくありません。この記事では、任意継続と国民健康保険の違いや選び方、保険料の目安、手続きの注意点についてわかりやすく解説します。
任意継続と国民健康保険の違いとは?
退職後に選べる健康保険は大きく分けて「任意継続健康保険」と「国民健康保険」の2つです。
任意継続健康保険は、会社を退職後も最長2年間、在職中と同じ健康保険に加入できる制度です。退職日から20日以内に手続きを行う必要があります。
国民健康保険は、市区町村が運営する保険で、個人で加入します。前年の所得などに基づき、保険料が計算されます。
それぞれの保険料の目安はどれくらい?
保険料は住んでいる市区町村や前年の所得によって大きく異なりますが、以下が一般的な目安です。
- 任意継続保険料:月額35,000円前後(給与時代の標準報酬月額が基準)
- 国民健康保険料:年収500万円の独身一人暮らしで月額25,000〜35,000円程度(地域により差あり)
所得がゼロになれば、国民健康保険の軽減措置が適用され、保険料が半額〜7割減額されるケースもあります。
どこで保険料を確認すればいいのか?
国民健康保険の保険料は「その年の1月1日に住民票があった自治体」が基準になります。たとえ現在は別の地域に引っ越していても、計算の基準は「1月1日時点の住所地」の市区町村役場です。
よくある混乱として、新しい役所では「前の市区町村で確認してください」と言われ、前の役所では「すでに転出しているので…」と曖昧な対応をされることがあります。このような場合は、旧住所地の市区町村の「国民健康保険課」に電話で詳細を尋ねるのが最も確実です。
任意継続か国保か、どちらを選ぶべき?
選択のポイントは以下の通りです。
- 前年の収入が高く、扶養家族がいない場合→任意継続の方が割安になる可能性あり
- 退職後に収入が大幅に下がる(失業など)→国保の軽減措置により、国民健康保険の方が安くなる可能性大
特に、失業給付を受ける人は、ハローワークで発行される「離職票(特定理由離職者等)」の提出により、国保の軽減が受けられます。
手続きの流れと注意点
任意継続の手続きは退職後20日以内に健康保険組合(協会けんぽなど)に申請が必要です。期限を過ぎると加入できません。
国民健康保険への切り替えは、退職後14日以内に現住所地の役所で「健康保険資格喪失証明書」などを持参して手続きします。
なお、どちらにも加入していない空白期間があると、万が一の医療費が全額自己負担になる可能性があります。空白を避けるためにも、早めの行動を心がけましょう。
まとめ:保険選びは状況に応じて柔軟に
退職後の保険選びは、前年の収入、現在の収入、家族構成、地域などによって最適解が変わります。「とにかく安くしたい」と思うなら、国民健康保険の軽減措置をしっかり確認しましょう。一方で、手続きが面倒であれば、期限内の任意継続も選択肢になります。
どちらが有利か迷う場合は、協会けんぽの保険料額表や、お住まいの市区町村の国保課で試算してもらうのもおすすめです。
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