傷病手当金を受給中に転院することは、ライフスタイルの変化や医師との相性によってはやむを得ない選択となることがあります。しかし、転院が傷病手当金の支給にどのような影響を与えるのか、不安を抱く方も少なくありません。この記事では、傷病手当金受給中の転院に関する制度的な取り扱いや注意点をわかりやすく解説します。
傷病手当金とは?基本的な制度内容
傷病手当金は、健康保険に加入している被保険者が病気やケガのために働けず、給与の支給がない(または減額される)場合に支給される所得補償制度です。支給要件としては、連続する3日間の待機期間を含め、4日目以降の労務不能状態が続く必要があります。
そのため、受給中であっても「労務不能状態が継続していること」がもっとも重要な支給基準となります。
転院しても傷病手当金は継続される?
結論から言えば、転院しても受給要件を満たしていれば傷病手当金の支給は基本的に継続されます。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 新しい医師による診断書が必要
- 転院理由が不自然でないこと(例:引越し、専門性の高い治療を求めた等)
- 医療機関の診療実績が継続的に確認できること
転院は制度上問題ないものの、「治療継続の証明」が重要視されるため、書類の整合性に注意しましょう。
健康保険組合に説明を求められることはある?
転院が頻繁にあった場合や、診断内容・治療方針に大きな違いがある場合は、健康保険組合から説明や追加書類の提出を求められることもあります。その際は、以下の点を整理しておくとスムーズです。
- 転院理由(例:通院距離、専門性、医師との相性など)
- 新旧の医師の診断内容の整合性
- 治療が中断していない証拠(通院日・領収書など)
正当な理由であれば、制度上の問題はありませんが、説明責任が発生する可能性はあります。
受給停止となる可能性は?
以下のような場合には受給停止のリスクがあるため注意が必要です。
- 転院後に診察を受けていない
- 新しい医師が「労務可能」と判断した
- 診断書の空白期間が生じた
とくに、診断書の提出間隔が空いてしまうと、「治療が継続していない」と判断され、支給が停止されるおそれがあります。診断書の連続性と治療実績の証明は極めて重要です。
スムーズな転院と受給継続のポイント
転院時にトラブルなく傷病手当金を受給し続けるためには、以下の点を意識しましょう。
- 事前に健康保険組合に相談する
- 新しい医師に傷病手当金の受給状況を伝える
- 診断書は途切れなく提出する
- 可能であれば、転院理由を文書で整理しておく
たとえば、「現在の病院では専門外のため、精神科のあるクリニックへ転院」「引越しに伴う通院困難」といった明確な理由があれば、健康保険組合からも理解が得られやすくなります。
まとめ:転院しても傷病手当金は原則継続。診断書と説明が鍵
傷病手当金の受給中に転院することは制度上問題ありません。ただし、診断書の継続性、治療の一貫性、転院理由の明確さが重要なポイントとなります。転院を予定している場合や不安がある場合は、早めに健康保険組合に相談し、スムーズな手続きを心がけましょう。
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