長年勤め上げた会社を定年退職すると、退職金が支給されるのが一般的です。退職金は一時的に多額の金額となるため、「課税されるのでは?」と不安になる方も少なくありません。この記事では、退職金にかかる税金の仕組みや控除、具体的なシミュレーションを通じて、わかりやすく解説していきます。
退職金に税金はかかる?基本の仕組みを知ろう
退職金は「退職所得」として所得税と住民税の課税対象になりますが、特別な控除制度が用意されており、他の給与所得などよりも大きく優遇されています。
退職所得には退職所得控除が適用され、さらに税額の計算時には「2分の1課税」という制度があり、実質的な税負担は大きく軽減されます。
退職所得控除の計算方法
退職所得控除額は、勤務年数によって以下のように計算されます。
- 20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
- 20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)
今回の例のように41年勤務であれば、800万円+70万円×21年=2,270万円が退職所得控除となります。
実例:退職金1800万円は課税対象になるのか?
仮に退職金が1800万円だった場合、退職所得控除が2270万円あるため、課税される退職所得は以下の通りです。
退職所得=(1800万円 − 2270万円)× 1/2 = マイナス
このように、退職金が控除額を下回っているため、課税対象額はゼロとなり、所得税・住民税も基本的には発生しません。
退職金の受け取り方による違い
退職金は一括受取と分割受取が選べる場合もありますが、税制上は一括受取のほうが有利です。一時金として受け取る場合にのみ、退職所得控除と2分の1課税が適用されます。
企業年金として分割受取する場合は「公的年金等控除」の対象となり、税制は異なりますので、退職金の受け取り方法は事前に確認しておきましょう。
退職所得申告書の提出を忘れずに
退職金を受け取る際には、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出することが必要です。これを提出すれば源泉徴収時に正しい税額が適用されます。
逆に提出を怠ると、退職金全額に対して約20.42%の税率で源泉徴収されてしまうため、後から還付を受ける必要が生じてしまいます。必ず提出しましょう。
まとめ:1800万円の退職金は実質非課税の可能性が高い
今回のように41年勤務で1800万円の退職金を受け取るケースでは、退職所得控除が2270万円となるため、税金は原則かからないと考えて差し支えありません。
ただし、控除の正しい計算や申告書の提出など、いくつかの注意点もあるため、退職前には勤務先や税理士などとしっかり相談することをおすすめします。
コメント