退職後に「実は社会保険の加入条件を満たしていたのに会社が手続きをしていなかった」という事実に気づくケースは珍しくありません。今回は、そんな未加入状態が後から発覚した場合にどう対応できるか、また国民年金の扱いや告発の流れまで詳しく解説します。
社会保険に加入させなかった企業の責任
社会保険(厚生年金・健康保険)は、労働時間・日数が正社員の4分の3以上などの条件を満たしていれば企業は加入させる義務があります。これを怠っていた場合、明確な違法行為です。
その場合、会社には最大2年分の保険料を遡って支払う義務があり、労使折半であっても、事実上は全額企業が負担するケースもあります。
退職後でも遡及加入は可能?
結論から言えば、退職後でも未加入が判明すれば「遡及加入」が可能です。元勤務先の事業所が手続きを行い、加入期間の訂正を年金機構へ届け出る形になります。
ただし、会社が対応を拒否したり、存在自体がすでになかった場合は、加入の申請が困難になるため、労働基準監督署や年金事務所への相談が重要になります。
国民年金を払っていた場合の扱い
会社員であるべき期間に国民年金を支払っていた場合、その期間は本来「厚生年金」の対象です。この場合、重複期間の国民年金は全額返還申請が可能です。
日本年金機構に遡及加入の確認が取れると、重複分の国民年金保険料の還付手続きが開始されます。なお、還付は銀行口座へ振込され、2〜3か月かかるのが一般的です。
企業の未加入を告発したい場合の方法
悪質な場合には、年金事務所への告発や通報も検討可能です。以下の手順が有効です。
- 年金事務所(日本年金機構)へ電話や窓口相談
- 加入要件に該当していた証拠(勤務時間・給与明細・契約書など)を持参
- 必要に応じて、労働基準監督署にも報告
通報は匿名でも受け付けていますが、対応を具体的に進めるには、詳細な事実の提示が不可欠です。
未加入の影響と今後の対策
厚生年金が未加入のままだと、将来的な年金額に大きな差が出るうえ、医療費や出産手当金などの給付にも影響が出ます。
今後は、就職先を選ぶ際に社会保険の整備状況も確認し、「社会保険加入証明書」の交付なども確認するのが賢明です。
まとめ:泣き寝入りせず適切な対応を
社会保険未加入が退職後に判明しても、遡及加入や国民年金の返還請求は可能です。制度上の権利として認められているため、対応を放置せず、年金事務所や労基署への相談を早めに行いましょう。
必要な証拠や情報を整えておくことで、よりスムーズに救済を受けられます。[参照:日本年金機構公式サイト]
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