認知症を患い、老健(介護老人保健施設)に入所中の家族がいる場合でも、一定の条件を満たせば障害年金の申請は可能です。しかし、申請には診断書が必要で、施設内での医療体制や制度理解が鍵となります。本記事では、認知症と障害年金の関係、老健からの申請方法、そして手続きの現実的な進め方について詳しく解説します。
認知症で障害年金を受給できる可能性はあるのか?
障害年金は、身体的・精神的な障害によって日常生活や就労に支障がある場合に支給されます。認知症は進行すると記憶障害や判断力の低下、日常生活動作の困難が生じ、障害年金の対象となる精神疾患のひとつです。
実際に、認知症による障害で「障害等級2級」や「3級」が認定されたケースも存在します。主に、日常生活が全面的に介助を必要とするかどうかが判断基準になります。
老健入所中でも障害年金は申請できる
老健施設は医療機関ではありませんが、障害年金の申請自体は可能です。ただし、障害認定日や初診日の証明が必要であり、その証明には医師の診断書が不可欠です。
入所中に外部の病院受診が難しい場合は、過去の主治医による診断書や、施設に定期的に訪れる嘱託医からの協力を得るなど、代替手段を検討することになります。
診断書取得のハードルと対処法
老健は原則として病院受診を外部に依頼しづらいため、診断書取得が難しいと感じる方も多いです。その場合には以下の方法を検討できます。
- 過去に通っていた病院で初診日証明と診断書を依頼する
- 施設に配置されている医師に診断書記載を相談する
- 一時的に外出許可を得て、外部医療機関で診断を受ける
障害年金では「初診日」が極めて重要な要素になるため、初診日が国民年金または厚生年金の加入中だったかどうかで受給可否が分かれます。
申請手続きの流れとポイント
障害年金の申請は以下のステップで行われます。
- 初診日の特定とその証明(カルテなど)
- 診断書の取得(指定の様式)
- 病歴・就労状況等申立書の作成
- 年金事務所または社労士を通じて申請
特に高齢者での申請は、認知症によって記憶が曖昧なため、ご家族による病歴の確認と記録の整理が非常に重要になります。
障害基礎年金と老齢年金の併給はできる?
65歳未満であれば障害基礎年金と老齢基礎年金の選択が可能ですが、原則的に両方を同時に受け取ることはできません。ただし、年金の「併給調整制度」により、より有利な方を選択する形になります。
なお、老齢年金受給後に新たに障害を負って申請する場合、一定の制限があります。今回は認知症が比較的早期から進行していたことが前提となるため、65歳前に障害認定を受けられるかが鍵となります。
社会保険労務士など専門家に相談を
障害年金の申請は書類の多さや手続きの煩雑さがネックです。特に高齢者での申請は、ご家族や施設職員だけで進めるのが難しいケースもあります。
そこで、障害年金の専門社労士などに相談すれば、書類作成や診断書依頼、年金事務所とのやりとりまでサポートを受けることができます。
まとめ
認知症を患い老健に入所中でも、条件を満たせば障害年金の受給は可能です。診断書の取得に工夫が必要な点や、初診日の確認など、準備は多岐にわたりますが、申請自体は諦める必要はありません。
まずは年金事務所に相談するか、障害年金に精通した社労士へ相談し、今の状況でどのように進められるか明確にすることをおすすめします。
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