精神障害者保健福祉手帳や障害年金は、精神疾患によって日常生活に支障をきたしている方の生活を支援する制度です。しかし、申請時の評価基準や等級の判断はわかりにくく、どの程度の支援が受けられるのか不安に感じる方も少なくありません。この記事では、診断書に記載された「生活能力の状態」などの情報をもとに、どのような等級になるかの予想と、申請の際に注意すべきポイントを解説します。
精神障害者保健福祉手帳の等級の仕組み
精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患により日常生活に支障がある方が対象です。等級は1級〜3級まであり、数字が小さいほど障害の程度が重いと判断されます。
1級:ほとんどの生活行為において常時援助が必要な状態
2級:日常生活において多くの場面で援助を要するが、一定の自立が可能
3級:援助は必要だが、社会生活は一部可能
診断書の「生活能力の判定」から見る等級予想
生活能力の判定は等級の重要な判断材料の一つです。今回のケースでは、以下の通りでした。
- 自発的にできる:2項目
- できるが援助が必要:3項目
- 援助があればできる:3項目
この配分から見て、生活全般で援助が必要な場面が多く、精神障害者保健福祉手帳2級に相当する可能性が高いと考えられます。
「日常生活能力の程度」から障害年金の可能性を探る
障害年金の等級判断においても、「日常生活能力の程度」は重要な項目です。今回の診断書では「著しい制限を受けており、時に援助を必要とする(等級3相当)」とされていました。
障害年金の基準では、以下のように整理されています。
- 2級:日常生活に著しい制限
- 3級:労働能力の制限がある(厚生年金加入者に限る)
したがって、障害基礎年金であれば2級該当の可能性が高いと考えられます。なお、障害厚生年金に該当する場合は3級という選択肢もあります。
統合失調症と社交不安障害の併発による影響
統合失調症は慢性かつ重度の精神疾患で、長期にわたる生活機能障害が見込まれます。社交不安障害も併発している場合、外出や就労の制限が強くなる傾向があり、評価に大きく影響します。
複数の精神疾患が併存している場合は、主たる傷病だけでなく総合的な生活制限の評価が行われるため、年金や手帳の等級が上がる可能性もあります。
実際の申請事例と比較してみよう
例:30代女性/診断名:統合失調症・社交不安障害/診断書内容:「生活能力の判定」は今回と同程度、「日常生活能力の程度」は3(著しい制限)で、手帳2級・障害年金2級を取得。日常生活で家族のサポートが必要で通院は月2回。
このような実例と比較すると、今回のケースも同等の評価となる可能性が十分にあると考えられます。
まとめ:専門家と相談しながら確実に手続きを
診断書の内容から判断すると、精神障害者保健福祉手帳は2級、障害基礎年金も2級の可能性が高いと予想されます。ただし、正式な判定は審査機関により総合的に決定されるため、社労士や自治体の障害福祉課など専門窓口に相談しながら準備を進めるのが安心です。
初回申請で不支給となるケースもあるため、不明点は遠慮せずに専門家の意見を仰ぐことが、支援を受ける第一歩となります。
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