高齢の親と同居していて、扶養に入っている場合、親が亡くなった後の手続きは複雑で不安が多いものです。特に国民健康保険や世帯主に関する変更は生活に直結するため、正確な知識が求められます。本記事では、後期高齢者の親が亡くなった場合に必要な手続きと注意点を、実際の事例を交えながら解説します。
世帯主が亡くなった場合の「世帯主変更届」の必要性
世帯主が亡くなると、その世帯に残る人は自動的に新しい世帯主になりますが、それでも役所には「世帯主変更届」の提出が必要です。これは住民票の世帯構成情報を正確に保つための法的な手続きであり、省略することはできません。
たとえば、父親(世帯主)と障害を持つ成人の子供が2人暮らしをしていて、父親が亡くなった場合、自動的に子供が世帯主になります。しかし、役所には必ず世帯主変更届を提出しなければなりません。提出しないと、後の行政手続きで不備が出る可能性があります。
国民健康保険の保険証番号や枝番は変更されるのか
国民健康保険に加入している場合、世帯主が変わると保険証の「枝番」が変更される可能性があります。枝番とは、世帯内の被保険者ごとの個別番号です。一般的に世帯主が枝番01、配偶者が02、子供が03と続きます。
たとえば、父が枝番01、亡くなった母が02、自分が03だった場合、父の死後に自分が世帯主になると、自分が枝番01に変更されるケースがあります。ただし、自治体により運用が異なるため、詳しくはお住まいの市区町村の国保窓口で確認するのが確実です。
扶養から外れた後の国保の保険料と支払い
これまで親の扶養に入っていて保険料を支払ってもらっていた場合、親が亡くなることで実質的に扶養が終了します。すると、保険料の負担者が自分自身に切り替わるため、納付書が自分名義で届くようになります。
たとえば、過去に会社の健康保険に加入していた経験がある人であっても、現在は国保に加入しているなら、今後の保険料支払いについての準備が必要です。支払いに不安がある場合は、市区町村によっては減免制度もありますので、役所に相談してみましょう。
後期高齢者医療制度との違いとその終了手続き
後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者が対象の公的医療制度です。被保険者が亡くなると、その資格は自動的に消滅しますが、保険証は速やかに返却する必要があります。また、過誤納がある場合は還付されることもあります。
たとえば、後期高齢者医療制度で保険料が口座振替されていた場合、死亡月以降の引き落としがあれば還付対象となる可能性があります。保険証や通帳を持参し、管轄の窓口で精算の手続きを取りましょう。
世帯構成の変更によるその他の影響
世帯主の変更は、国保だけでなく、住民税や介護保険料の算定にも影響を与えることがあります。特に障害者控除や扶養控除などの税制上の優遇措置に関しては、状況が変わることで見直しが必要になることがあります。
たとえば、障害を持つ人が新たに世帯主になった場合、非課税世帯の扱いや福祉サービスの内容が変わる可能性もあるため、福祉課や税務課にも確認しておくことをおすすめします。
まとめ:親の死後、必要な手続きは早めに把握を
後期高齢者の親が亡くなった場合、遺族として必要な手続きは多岐にわたります。国民健康保険や世帯主変更、扶養関係の見直しなどは、特に生活に直結する重要な項目です。自分にとって何が変わるのかを冷静に整理し、役所などの公的機関に相談しながら手続きを進めるようにしましょう。
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