建設業などに従事する一人親方が現場に入る際、多くの場面で求められるのが「労災保険への加入」です。中でも重要なのが給付基礎日額の設定。最低の日額である3,500円にするか、それとも14,000円程度にするか。今回は選び方のポイントと、実際の利用シーンを踏まえて解説します。
一人親方の労災保険とは
一人親方労災保険とは、建設業・運送業・大工などの自営業者が業務中や通勤中に事故やケガをした場合に備えるための保険です。加入は任意ですが、多くの現場では加入証明が求められるため、事実上の「現場入場チケット」となっています。
この保険の給付内容は「給付基礎日額」によって決まり、日額が高いほど保険料も高くなりますが、給付額も手厚くなります。
給付基礎日額の種類と金額
一人親方が選べる給付基礎日額は、以下の範囲で設定されています。
給付基礎日額 | 年間保険料(目安) |
---|---|
3,500円 | 約17,000円 |
7,000円 | 約33,000円 |
10,000円 | 約47,000円 |
14,000円 | 約66,000円 |
保険料は加入団体や特別加入団体ごとに若干異なりますが、上記は一般的な目安となります。
治療費はどの日額でも同じ?
実は労災保険の「治療費」は給付基礎日額にかかわらず全額補償されます。これは、病院の労災指定診療機関にかかれば、自己負担0円で治療が受けられるためです。
つまり、「軽度のケガ」に対する医療費目的であれば最低日額でも十分と言えます。
休業補償をどう考えるかがカギ
最も重要なのは、「休業補償」の金額。給付基礎日額3,500円を選んだ場合、休業1日あたりの支給額は約2,800円(80%相当)となります。逆に14,000円なら11,200円が支給されます。
例えば1ヶ月休業した場合の補償額は以下の通りです。
- 日額3,500円:月約84,000円
- 日額14,000円:月約336,000円
したがって、「休業リスクに備えたいかどうか」が選択のポイントになります。
他の保険との併用で判断を
生命保険や医療保険で休業補償や入院給付が十分に確保できている場合は、最低日額でコストを抑えるのも選択肢です。一方で、収入補填が不安な場合は日額7,000円以上の設定を検討するのが安心です。
たとえば、「半年休んでも生活資金は確保してある」という方であれば、最低日額で割り切るという判断も妥当でしょう。
実際の利用者の声
・40代大工「最初は最低日額にしていたけど、思わぬ事故で3ヶ月休むことに。あとから後悔して10,000円に変更した」
・30代内装業「掛け捨てだし、現場に入れればOKという考えで3,500円を継続中。治療は保険でカバーしてる」
まとめ|最低日額での加入も可、休業補償の必要性で選ぼう
一人親方の労災保険は、現場に入るための形式的な要素だけでなく、休業時の収入補填という実質的な保障機能も担います。医療費だけを目的とするなら最低日額で問題ありませんが、長期休業リスクを考えるなら給付基礎日額の引き上げを検討しましょう。
他の保険とのバランス、自身の生活資金の備えを踏まえた上で、無理のない範囲で設定することが賢明です。
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