ガソリンの暫定税率が廃止されたら灯油も安くなる？価格への影響と背景を徹底解説

近年、ガソリン価格の高騰を受けて「暫定税率廃止」が政治の場で議論されることが増えてきました。この議論が進展した場合、同じく石油製品である灯油の価格にも変化があるのか気になるところです。本記事では、ガソリン暫定税率の仕組みと灯油価格の関係についてわかりやすく解説します。

ガソリンの「暫定税率」とは？

ガソリンにかかる「暫定税率」は、正確には「揮発油税」と「地方揮発油税」の一部が本来の税率より上乗せされている状態を指します。この制度は当初一時的な措置として導入されましたが、現在も継続して適用されており、リッターあたり25.1円の上乗せが続いています。

このため、暫定税率が廃止されればガソリン価格は単純計算でリッター約25円程度下がる可能性があると言われています。

灯油は「軽油引取税」や「石油石炭税」の対象となる石油製品ですが、ガソリンとは異なり「揮発油税」やその暫定税率の適用対象ではありません。つまり、灯油にはそもそもガソリンの暫定税率は課税されていないのです。

そのため、仮にガソリンの暫定税率が廃止されたとしても、灯油の税制自体が変わらなければ直接的に価格が引き下がることは基本的にありません。

一方で、ガソリンと灯油はともに石油から精製されるため、流通・販売の過程でコスト構造に共通点が多くあります。もしガソリンの税制改革によって流通コストや市場価格全体が見直されるような動きが起きれば、灯油価格にも間接的な影響が出る可能性はあります。

また、ガソリン価格が下がることで、全体的な燃料需要に変化が起きれば、灯油の需要と供給のバランスにも影響を与える可能性があります。

灯油価格は以下のような要因で決まっています。

このように、灯油の価格はガソリンの暫定税率とは独立して動いているため、ガソリン税制の変更だけで大きな変化が起きる可能性は限定的です。

過去にガソリン税制の議論が盛り上がった際にも、灯油価格が連動して大きく変動したケースはほとんどありませんでした。例えば2008年に暫定税率が一時失効した際、ガソリン価格は下落しましたが、灯油の価格は季節的な変動に左右されただけで税制変更による直接的な値下がりは見られませんでした。

ガソリンの暫定税率が廃止された場合でも、灯油には直接的な影響はほとんどありません。なぜなら、灯油にはガソリンと同じ税が課税されていないためです。ただし、市場全体の流通コストや燃料価格の構造に変化が生じれば、将来的に灯油価格にも波及する可能性は否定できません。

今後の政策動向を注視しつつ、灯油価格に関しては原油価格や為替レート、季節的需要など他の要因にも注意を払いましょう。