新型コロナウイルス感染症の後遺症によって長期の休業を余儀なくされた場合、傷病手当金を受け取れるかどうかは、診断書の記載内容や申請手続きの正確さに大きく左右されます。今回は「診察を受けていない期間の申請は可能か?」という点に注目し、制度の概要や実務上の対応策を詳しく解説します。
傷病手当金とは?基本的な仕組みをおさらい
傷病手当金は、健康保険に加入している被保険者が病気やケガで仕事を休み、報酬が受けられない場合に支給される給付金です。原則として連続する3日間の待期期間の後、4日目以降の労務不能な日について支給されます。
主な支給要件は次の通りです:
- 業務外の病気やケガによる休業
- 労務不能であること
- 連続する3日間を含む休業
- 給与が支払われていないこと
診察を受けていない期間でも申請できるのか?
重要なのは「労務不能な状態であったと医師が判断し、診断書にその旨を記載しているか」です。診察を受けた日が該当期間になくても、医師が医学的見地から労務不能と判断した場合、申請は可能とされるケースもあります。
ただし、「実際に診察を受けていない期間」について医師が明確に労務不能と認めない場合、健康保険組合によっては支給対象外と判断されることもあります。
診察日がない期間の注意点と例外的な認定
例として、8日に診察を受けており、その後30日まで後遺症で出勤できなかった場合でも、16~30日の期間について診察が無ければ、その期間の申請にはリスクが伴います。
ただし、医師が「継続して労務不能だった」と医学的に説明できる診断書を記載した場合、例外的に認定されることがあります。健康保険組合に事前に相談し、必要書類や医師への依頼内容を明確にすることが非常に重要です。
医師記載欄の「労務不能と認めた期間に診察はありましたか?」の意味
この質問は「医学的な判断が実際の診察に基づいて行われたかどうか」を確認するためのものです。「いいえ」と回答されている場合は、診察なしでの申請と見なされ、審査が厳格になります。
この場合、申請時に「患者が通院できなかった理由」「電話再診やオンライン診療の有無」「症状の経過を記録したメモ」などを添えると、認定の可能性が上がります。
実際の申請事例と対応策
たとえば、ある方がコロナ感染後の倦怠感により3週間休職した際、初診日は1回のみでしたが、主治医が症状の一貫性と回復までの予想期間を明確に診断書へ記載したことで、支給が認められたケースがあります。
このように、「診察日が1日のみでも、診断書の記載が適切であれば認定される可能性がある」という点は覚えておくべきです。
まとめ:診察日がなくてもあきらめず、まずは医師と保険組合に相談を
コロナ後遺症などで長期間の休業を余儀なくされた場合、診察日が少ないからといって必ずしも傷病手当金が受け取れないわけではありません。大切なのは、医師が継続して労務不能であることを医学的に証明できるかどうかです。
まずは主治医に再確認し、必要があれば追加の診断書や補足資料を用意しましょう。そして、事前に健康保険組合へ相談することで、書類の不備や誤解による不支給を防ぐことができます。
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