役員報酬の変更があった際、社会保険の手続きはどのように対応すべきか迷うことも多いでしょう。特に、後期高齢者の経営者となると、手続きの必要性や内容が一般の被保険者と異なることがあります。本記事では、79歳の経営者で役員報酬が変更になった場合の月額変更届(随時改定届)について、分かりやすく解説します。
月額変更届とは?
月額変更届(随時改定届)は、社会保険に加入している被保険者の報酬が大きく変動した場合に、標準報酬月額を変更するための届出です。
原則として、固定的賃金に変更があり、3か月間の平均報酬月額が既存の等級と2等級以上差がある場合に提出が必要です。提出期限は、報酬変更後3か月目の翌月10日までです。
高齢者(後期高齢者)経営者の場合の社会保険の扱い
79歳の経営者の場合、後期高齢者医療制度の対象であり、健康保険の被保険者にはなりません。つまり、健康保険の月額変更届は不要です。
ただし、厚生年金保険には加入し続けている場合もあります。その場合は、役員報酬の変動に応じて月額変更届の提出が必要となることがあります。
今回のケースにおける判断ポイント
本件では以下の条件が示されています。
- 対象者は79歳の経営者
- 令和5年10月支給分から報酬が10万円→15円に変更(大幅な減額)
- 毎月の控除は住民税・源泉税のみ
このように、大幅な固定的報酬の変更があるため、厚生年金の被保険者であるならば、月額変更届の対象となります。
ただし、79歳という年齢のため、既に厚生年金からも除外されているケースもあります。まずは日本年金機構の被保険者資格の確認が必要です。
厚生年金の対象かどうかを確認する方法
確認方法は以下の通りです。
- 直近の「年金保険料納入告知書」や「資格取得・喪失届控え」を確認
- 会社の社会保険手続きを担当する事務担当者・顧問社労士に確認
- 年金事務所または電子政府の窓口(e-Gov)でも確認可能
万が一、厚生年金にも未加入の場合は、月額変更届の提出は不要です。
月額変更届の提出が必要な場合の手続き方法
提出が必要な場合、以下の手順で行います。
- 「被保険者報酬月額変更届」(日本年金機構の様式)を入手
- 報酬変更月から3か月間の報酬実績を記載
- 提出期限:報酬変更後3か月目の翌月10日まで
- 提出先:所轄の年金事務所またはe-Govで電子申請
なお、役員報酬の変更が法人の決議によるものである場合は、定款変更議事録なども併せて保存しておきましょう。
まとめ:まずは被保険者資格を確認し、厚生年金に加入中なら手続きを
今回のように高齢の経営者であっても、厚生年金に加入している場合は、報酬の変更に応じて「月額変更届」を提出する必要があります。報酬の変更時期やその後の3か月の報酬額などをもとに提出の要否を判断しましょう。
まずは厚生年金に現在加入しているかを確認し、必要であれば早めに年金事務所等へ相談し、適切な手続きを行いましょう。
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