長年会社員として働いた後に独立して個人事業主となった方が、病気などで仕事を休むことになった場合、気になるのが「失業保険はもらえるのか」という点です。制度の仕組みや条件を理解しておくことで、適切な手続きや判断が可能になります。
失業保険の基本:受給資格と支給条件
失業保険(正式には「雇用保険の基本手当」)は、過去2年間に「被保険者期間」が12カ月以上あることが基本的な受給資格です。つまり、会社員として雇用保険に加入していた期間が12カ月以上あれば、受給可能性が出てきます。
また、受給には「就職の意思と能力があること」が必要です。病気療養中などで「すぐに働けない」場合は、受給の対象外になることがありますが、例外的に「受給期間の延長」手続きが可能です。
個人事業主に転身した場合の扱い
会社員を退職後にすぐ個人事業主になった場合、原則としてその時点で「自らの意思で働いている」とみなされるため、失業状態には該当しません。そのため、個人事業を辞めたからといって、自動的に失業保険を受給できるわけではありません。
ただし、退職から1年以内に「離職票」を持ってハローワークに申請し、しかも事業を廃止して就職活動に専念する意志があると認められれば、受給できる場合もあります。
病気による離職の場合は「受給期間の延長制度」を活用
病気やけがで就職活動ができない場合、「受給期間の延長」申請が可能です。この申請を行えば、退職日から原則1年以内の受給期間を、最大で4年間に延長できます。
例えば、2023年4月に退職し、その後すぐに病気療養に入り、2024年中に回復して就職活動を開始する場合、2024年内に受給資格を再申請することが可能になります。
受給のために必要な手続きと書類
失業保険を受け取るためには、ハローワークでの「求職の申込み」が必要です。その際に必要な書類は次の通りです。
- 離職票1および2(会社から受け取る)
- 本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)
- 印鑑、写真、通帳またはキャッシュカード
- (病気療養中の場合)診断書や受給期間延長申請書
特に「離職票」は会社員時代の証明として極めて重要ですので、紛失した場合は勤務先に再発行を依頼しましょう。
受給可能な期間と金額の目安
一般的に、雇用保険加入期間が10年以上20年未満の場合、所定給付日数は最大150日程度。1日あたりの支給額は、退職時の賃金の約50~80%が目安とされています。
たとえば月収25万円だった方なら、1日あたり6,000円前後、合計で90万円程度の支給が見込まれます。
まとめ:早めの相談と手続きがカギ
会社員を辞めた後に個人事業主になっていても、失業保険を受け取れる可能性はゼロではありません。特に、過去に雇用保険を長期間支払っていた方は、その実績を活かせる可能性があります。
ただし、制度は複雑で申請期限もあるため、まずは最寄りのハローワークに早めに相談し、自分の状況でどの制度が使えるのかを確認しましょう。
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