引越しや手続きの都合で国民健康保険(国保)が一時的に未加入の状態になり、医療費を10割自己負担で支払うケースは意外と多くあります。では、後日保険加入が完了した場合、その差額分は返金してもらえるのでしょうか?この記事では、国保未加入中に全額支払った医療費を取り戻す方法とその注意点について解説します。
国民健康保険が遡って適用される仕組み
国保の加入手続きは、原則として住民票のある市区町村役所で行います。転出・転入によって一時的に保険証が手元にない場合でも、加入日自体は「転入日(または転出後14日以内に手続きした日)」にさかのぼって適用されます。
つまり、保険証がまだ発行されていない状態で診療を受けても、保険の資格が後日付与されれば「遡って保険適用」となるため、7割分の返金手続きを申請することが可能です。
全額負担で支払った場合の払い戻し方法
病院で一時的に10割負担(全額自己負担)で支払った場合は、後日「療養費支給申請」という手続きを通じて、自己負担分(通常3割)を除いた7割分の返金を受けることができます。
申請に必要な書類は以下のとおりです。
- 診療明細書および領収書の原本
- 療養費支給申請書(役所で入手またはダウンロード)
- 国民健康保険証(発行後)
- 本人確認書類、振込先口座情報
市区町村によっては別途添付書類が求められる場合もあるため、申請前に担当窓口へ確認することをおすすめします。
払い戻しの時効と注意すべきポイント
療養費の払い戻し請求には「2年以内」という時効があります。支払日から2年を経過すると請求が認められなくなるため、手続きはなるべく早く行うのが鉄則です。
また、領収書は原本が必要であるため、受診後に必ず大切に保管しておきましょう。紛失した場合、返金ができないこともあります。
医療機関での返金は原則不可
「後日保険証を持参すれば病院で7割返金してもらえるのか?」という質問がありますが、基本的に医療機関では後日返金に対応していません。そのため、返金の申請は患者自身が市区町村に行う必要があります。
ただし、病院によっては診療当日に「保険証が届き次第提示してください」という対応をしてくれる場合もありますので、受付時に相談してみるのも良いでしょう。
郵送手続き中でもできること
転出届・転入届を郵送で行っている最中でも、仮に急な診療が必要な場合は、まずは全額自己負担で診療を受けることが可能です。そのうえで、転入後速やかに国保加入の手続きを完了させ、遡って資格を得ることで払い戻しの申請が可能になります。
このように、事後対応でも救済措置があるため、安心して医療を受けることができます。
まとめ:国保未加入中の診療費も条件次第で返金可能
引っ越しなどによって一時的に国民健康保険が切れてしまった場合でも、医療費の7割は後から返金される可能性があります。ただし、領収書の保管や申請期限など、いくつかの注意点もあるため、状況に応じて速やかに手続きを進めることが大切です。
詳細はお住まいの自治体のホームページや担当窓口で確認しましょう。たとえば、[参照] 東京都福祉保健局:療養費の支給についてが参考になります。
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