住宅を新築・購入した際に必ず加入する火災保険ですが、いざ保険金額(評定価格)を提示されると「建築費と合わないのはなぜ?」と疑問を持つ方が少なくありません。特に、建築にかけた金額よりも火災保険の評定価格が低いと不安になるものです。本記事ではその理由と、火災保険の適切な補償の考え方についてわかりやすく解説します。
火災保険は「再調達価額」で設定される
火災保険の補償額(保険金額)は、基本的に「再調達価額(再取得価額)」を基準に設定されます。これは、現在の建築物と同等の建物を再び建て直すのにかかる想定金額のことです。
一方、注文住宅などで支払った「建築費用」は、土地代・設計費・外構費・諸費用などが加算されており、純粋な再建築費とは異なります。そのため、保険会社が算出する火災保険の補償額(評定価格)は、実際の建築にかかった総額より低くなることが多いのです。
土地代や外構は補償対象外
火災保険の対象は「建物本体」と「建物内の動産(家財など)」であり、土地代や門扉・カーポート・庭木などの外構は、原則として補償対象外です。
例えば、「土地代800万円+建物・外構等3300万円」という構成であれば、火災保険の対象となるのは建物部分のうち建物本体に該当する額(例:2800万円程度)となり、これが評定価格として設定されるのです。
火災保険の評定価格が不足しているとどうなる?
補償額(保険金額)が低すぎる場合、火災などの全焼時に実際の再建費用に足りない可能性があります。これを「過小保険」といい、保険金が一部しか支払われないリスクがあります。
一方で、建築費全体に合わせて高く設定しすぎても、実際に支払われる保険金の上限は再調達価額までであり、「過剰保険」によって保険料が無駄に高くなるケースもあります。
適切な保険金額の設定方法
最も確実なのは、保険会社またはハウスメーカーが提示する再調達価額を参考にすることです。建築費明細書をもとに、保険会社側が「建物本体」「外構」「設備」の構成を評価し、実際に必要な補償額を算出してくれます。
また、火災保険には「評価額自動調整特約」や「新価補償特約」が付いていると、物価上昇や建築資材の値上がりに応じた補償がされるため安心です。
外構や設備の補償が必要な場合
門扉・塀・物置・太陽光発電など、建物本体以外の補償も必要な場合は、火災保険に「付帯補償」として明記して契約することが重要です。これにより、例えば台風や車の衝突で門柱が破損した場合でも保険金を請求できます。
また、設備や地震保険の付加も検討すると、万が一の備えとしてより安心です。
まとめ
火災保険の評定価格が建築費より低いのは、「土地や外構を含まない再調達価額」に基づいて設定されているためです。実際の保険金支払額は再建費用に沿ったものになるため、適切な保険金額を設定することが最も重要です。疑問がある場合は、加入前に代理店や保険会社に詳細を確認しましょう。
コメント