医療従事者の多くが加入する「歯科医師国保」。一見すると専門職向けの安心できる保険制度に思えますが、実は公的制度の中でも給付内容に大きな差があることをご存じでしょうか？特に女性の働き方やライフイベントと関わる給付には注意が必要です。
歯科医師国保とは？
歯科医師国保は、各都道府県の歯科医師会が運営する国民健康保険組合で、主に開業歯科医やその従業員が加入する制度です。一般的な国民健康保険と異なり、組合独自の運営によって保険料や給付内容が決まるため、地域や組合によって差があります。
歯科医師国保に加入するには、原則として歯科医師会に所属していることが必要で、歯科医院に勤務する正社員のスタッフも多く加入対象となります。
なぜ傷病手当金や出産手当金がないのか
傷病手当金や出産手当金は、会社員が加入する「健康保険（協会けんぽや健保組合）」に含まれる給付であり、国民健康保険には原則として制度そのものがありません。
歯科医師国保も国民健康保険の一種であり、「傷病手当金」や「出産手当金」は給付対象に含まれていないことが一般的です。ただし一部の組合では、独自に見舞金や出産祝金などを支給しているケースもあるため、加入している都道府県の歯科医師国保に確認が必要です。
妊娠中や出産時に受けられるその他の支援制度
たとえ出産手当金がなくても、「出産育児一時金（原則50万円）」は歯科医師国保でも支給されます。さらに自治体によっては「妊産婦健診の補助」「出産助成金」「母子手帳交付時の支援」など独自支援がある場合もあります。
また、勤務先の就業規則に「産前産後休暇中の給与支給」規定がある場合には、企業から給与が支給されることもありますので、雇用契約や規則の確認も大切です。
歯科医師国保のメリットとデメリット
【メリット】
- 所得に関係なく定額保険料であることが多く、高所得者にとっては割安
- 医療費の自己負担割合が他制度と同等（原則3割）
- 歯科医師会を通じた団体補償や福利厚生制度が利用可能
【デメリット】
- 傷病手当金・出産手当金がない
- 育児休業中の保険料免除制度がない場合が多い
- 収入が低くても保険料が一定であるため、低所得者には負担が重く感じる
将来的に備えるために
今後も妊娠・出産などライフイベントを控えている場合は、勤務先の社会保険（厚生年金・健康保険）に加入できる環境を検討することもひとつの選択肢です。特に常勤勤務であれば、企業側と相談して社会保険への切り替えも可能なケースがあります。
また、民間の就業不能保険や出産給付金が付帯された保険を検討することで、歯科医師国保で補えない部分をカバーする方法もあります。
まとめ
歯科医師国保は一部の専門職にとってメリットがある制度ですが、出産や病気に備えた公的給付が不足している点には注意が必要です。特に女性が多く働く業種であるからこそ、制度の限界を理解し、別の補完策を早めに検討しておくことが安心につながります。
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