年金制度は複雑でつかみにくいものですが、人生後半の安心につながる大切な仕組みです。この記事では、年金の基礎から、受け取りのタイミング、遺族年金や障害年金、さらには議員年金など幅広くわかりやすく解説します。今から知っておきたい年金の知識をまとめました。
年金の受け取り開始時期を決める判断材料とは
年金の受け取り開始年齢は原則65歳ですが、60歳から70歳の間で選ぶことができます。早く受け取れば金額は少なくなり、遅く受け取るほど増額されます(繰下げ受給)。
判断材料には以下のような要素があります。
- 健康状態と家族の寿命(平均寿命を超えそうなら繰下げも有効)
- 貯金額や退職金の有無
- 65歳以降の再就職や副収入の見込み
- 住宅ローンや子どもの教育費など支出状況
たとえば、65歳から月15万円を20年間受け取ると3,600万円ですが、70歳から月20万円なら15年で同額になります。自分のライフプランに合わせて検討するのが重要です。
年金の3階建て構造とその他の年金制度
日本の公的年金制度はよく「3階建て」と言われます。
- 1階:国民年金(基礎年金)-全ての人が加入
- 2階:厚生年金-会社員や公務員が対象
- 3階:企業年金・確定拠出年金(iDeCo)・共済年金(旧制度)
このほかにも、「船員保険年金」や「議員年金」など特定職種に応じた制度がありました。現在は多くが統合され、厚生年金に一元化されています。
議員年金や船員保険年金とは?
かつては国会議員や地方議員向けの「議員年金」が存在しましたが、国会議員年金は2006年に、地方議員年金は2011年に廃止されています。ただし、それ以前に加入していた人は特例措置として継続受給しています。
「船員保険年金」は海上労働者向けの年金制度で、かつては独立した年金でしたが、2002年に厚生年金と統合され、今は一体運用されています。
遺族年金とは?受け取れる人と条件
遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。主に子どもがいる配偶者、または18歳未満(または障害者)の子どもに支給されます。
子どもが複数いる場合、最も年少の子が18歳になるまで支給され、その後は終了します。未婚の子でも、保護者や後見人が手続きすれば受給可能です。
なお、子どものいない夫婦でも、一定の年齢や障害等級によっては受給できる場合もあります。
障害年金とその等級による違い
障害年金は「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2種類があります。受給資格は障害手帳の有無ではなく、障害認定日の障害の程度によって決まります。
- 身体障害:1級~3級(厚生年金加入者は3級も対象)
- 精神障害:障害等級1級・2級が支給対象
等級が重いほど支給額は高くなります。たとえば障害基礎年金の1級は月約9.8万円、2級は約7.8万円(令和6年現在)です。
障害年金を受けていた方が亡くなった場合、遺族年金に自動的に切り替わるわけではありません。亡くなった人が厚生年金加入中だったか、保険料納付要件を満たしていたかなど、別途審査があります。
年金の受給開始年齢の選択肢は?将来どうなる?
令和7年(2025年)時点では、60歳~75歳までの間で自由に受け取り開始年齢を選べます。65歳が標準ですが、繰上げると最大30%減額、繰下げると最大84%増額されます。
将来的には受給開始年齢の自由度はさらに拡大する可能性があります。例えば「77歳まで繰下げ可能」などの議論も進んでおり、自分の人生設計に合わせた選択肢が広がるでしょう。
まとめ:年金制度は知って備えることで安心が生まれる
年金についての知識は早くから得ておくことで、老後の不安を軽減できます。まずは自分がどの年金に加入していて、いつ・どれだけ受け取れるのか確認してみましょう。
また、遺族年金や障害年金など、想定外のリスクにも対応できる制度も整っています。少しずつでも情報を整理し、備えていくことが将来の安心に直結します。
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